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キク採穂用作業台車
[要約]
立ち上がりや前後左右への採穂動作を補助するイスと可動式セルトレイ搭載台車を連結したリモコン制御の自走式作業台車である。現行の作業に適用し、採穂時の下肢への負担が軽減、また、セルトレイの搭載で採穂数の確認、採穂後の作業性が高まる。
[キーワード]
作業負担軽減、キク、採穂、作業台車、作業イス
[担当]
宮城農園研・情報経営部、園芸栽培部
[代表連絡先]
電話022-383-8114
[区分]
東北農業・基盤技術(作業技術)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
キクの採穂作業は長時間にわたりしゃがんだ姿勢で行うため、下肢(腰、下腿、大腿など)への肉体的な負担が大きい。また、採穂は本数を数えながら行う必要があり、精神的な負担も伴う。そこで、これらの負担を軽減するため、採穂、採穂のカウント、運搬がスムーズに実施できる作業台車を開発し、採穂作業の軽労化の効果を確認する。
[成果の内容・特徴]
- 開発機はイスの脚部分に入れた圧縮コイルバネと台車とイスの設置部位にバネを取り付けることにより、作業者の立ち上がりや前後左右への採穂動作を補助できるイスと採穂した穂を収納する可動式セルトレイ搭載台車を連結したリモコン制御の自走式作業台車である(図1)。
- 作業者は採穂時にイスに座った状態で採穂し(図2)、穂を探すための移動は立ち上がり歩行する。採穂場所が決まれば、イスが浮いた状態の作業台車をリモコンで呼び寄せる。
- 開発機はDCモータ、バッテリー(12V-12AH、充電:約15時間)を搭載し、8時間/日の作業で、5日程度使用可能である。
- 開発機の使用で、作業姿勢は腰、膝の曲げ角度が広がり、表面筋電位では太もも(大腿直筋、二頭筋)やふくらはぎ(腓腹筋)で低下、さらに心拍数も低下することから、作業負担が軽減される。また、慣行作業(図3)で疲労の訴えのあった肩、腰、足全体の疲労が、開発機では無くなり、自覚疲労の観点からも作業負担が軽減される(表1)。
- 採穂作業時間は、葉数、長さを調整しながら行うが、セルトレイに入れることで本数確認が容易となり、手作業とほぼ同程度で33分/1000本である。その後の作業もトレイごと行え、取り扱いが容易となる(図表略)。
[成果の活用面・留意点]
- 開発機は受注発注で販売。(株式会社藤田鐵工所、1台29万円程度)。
- 開発機の一部、採穂動作を補助するイスは単独で作業用イスとして商品化予定。
- 自走式作業台車は前後にしか動かないため、次の畝へは収納している補助輪を使用して、旋回する。
- 採穂は調整しながら、10本づつトレイ1穴に立てるようにいれる。使用するセルトレイは、穂の収納やその後の作業、穂数確認の面から105穴を使用する。
- 作業姿勢は傾斜センサーによる方法(小林1998)を用い、VINE製姿勢モニターで、表面筋電位はTEAC製筋電センサーで計測、心拍数はPOLOR社心拍計ハートレイトモニターで調査。自覚疲労は日本産業衛生学会選、自覚症しらべ(2002)を使用した。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- キク直挿しにおける省力移植作業のための早期発根処理システムの確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2001〜2003年度
- 研究担当者
- 山村真弓、相澤正樹、菅野秀忠、佐々木厚
- 発表論文等
- 機構ら(2007)農作業用台車および農作業用イス」特許申請2005-198677