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シンテッポウユリ9月出し栽培のための切り下球根の利用条件
[要約]
シンテッポウユリ採花後の切り下球根を用いた9月出し栽培に適する球根の貯蔵温度は0〜−1℃である。貯蔵終了後は、5℃で4週間催芽する。球周は8cm以上が適し、7月上旬までに定植する。
[キーワード]
シンテッポウユリ、切り下球根、開花調節、9月出し
[担当]
秋田農技セ農試・野菜花き部・花き担当
[代表連絡先]
電話018-881-3330
[区分]
東北農業・野菜・花き
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
シンテッポウユリは、お盆、彼岸に大きな需要があるが、秋彼岸においては、全国的に品薄期になり、高単価が期待できる。本県では、播種当年1作目で露地9月出しが可能であるが、切り下球根を利用した2年目の据え置き栽培では、採花期間が前進し、9月に集中出荷できない。そこで、他のユリ類で行われている貯蔵球根を利用した、9月出しに適するシンテッポウユリ球根の貯蔵条件や催芽期間等を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 球根の貯蔵温度は0〜−1℃が適する。0℃より高温の貯蔵では3月までに球根が発芽する。また、−2℃以下の貯蔵では凍結障害と思われる球根の腐敗が生じ、さらに奇形花の発生個体が多く、花蕾数が減少する。(表1)。
- 貯蔵終了後は、5℃で定植4週間前から催芽し、早期に芽の伸長を促す。定植前に芽を伸ばすと、生育が促進され、7月5日の定植で9月上〜中旬に採花できる。さらに切り花長や花蕾数の切り花品質が向上する(表2)。
- 球根の球周は8 cm 以上では、切り花長65cm 以上で出荷規格のS サイズ以上になる。球周12cm 以上の球根を用いると85cm 以上のL サイズ以上が得られる(表3)。
- 球根養成については、球周8 cm 以上の球根サイズの割合は1作収穫後では64.3%、2作目の据え置き栽培収穫後は85.6%になる。球周12cm 以上の球根は、どちらも約20%である(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 切り下球根利用による露地9月出しは、7月上旬が定植時期の晩限であり、採花期や切り花品質の上で、6月中旬の定植が適すると推察される。
- 貯蔵球根を用いる抑制栽培には冷凍庫や冷蔵庫など設備が必要である。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 花きの省力・低コスト安定多収技術の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2006 〜 2007 年度
- 研究担当者
- 佐藤孝夫、間藤正美、山形敦子