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生産者のGAPに対する意識
[要約]
GAPの認知状況の違いに関わらず、生産者の多くは内容を理解すればその必要性を認める。また、GAPを導入する場合に問題となることは、実施の判断基準があいまいであること、記帳の時間がないことと考えている。
[キーワード]
GAP、生産者、意識、判断基準
[担当]
宮城農園研・情報経営部
[代表連絡先]
電話022-383-8119
[区分]
東北農業・基盤技術(経営)
[分類]
行政・参考
[背景・ねらい]
消費者の食の安全・安心への関心が高まる中、農業生産現場においてはGAP(Good Agricultural Practice)に取り組み、安全な農産物生産のための生産管理を実施することが求められている。GAPの根幹である生産工程管理、プロセスチェックは農業生産現場では新しい概念であることから、GAP導入前の産地において生産者のGAPに関する意識と、導入にあたって生じうる問題点を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- GAPの認知状況は産地により差が見られるが、GAPについて説明後に必要性を質問すると、GAPの認知状況に関わらず、8割以上の生産者が「必要」または「どちらかというと必要」と回答する(図1、2)。
- GAPチェック項目に該当する生産管理の実施状況の自己評価は、いずれの産地においても「どちらかというとやっている」に近い(表1)。生産現場では日頃の生産管理の中でGAPのチェック項目の多くが既に実施されており、GAPの生産現場への導入は可能と考えられる。
- 生産者がGAPに取り組む上で問題と捉えているのは、GAPの認知状況に関わらず、「実施を判定するための基準があいまい」、「他の記録が多い」、「記帳の時間がない」という事項である(図3)。そのため、「作業場の整理・整頓」というチェック項目であれば「作業終了時に清掃し、床にゴミが落ちていない状態にする」等、具体的取り組み事項と判断基準の設定が必要と考えられる。これにより実施判断の基準が明確化し、記帳が短時間で行えるようになると考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- 宮城県のGAP推進における参考資料として活用する。
- 本調査は、GAP導入前の宮城県内2か所の農協トマト生産部会へのアンケート調査による(調査時期:平成18 年10 月〜 12 月)。調査票の配布、回収はいずれも普及指導員または農協職員が実施し、回収率はA農協75%(配布数69 名)、B農協100 %(配布数21 名)であった。A農協は市場出荷を主とする宮城県内の一般的な産地、B農協は直接取引を主とし実需者の要請で衛生管理に積極的に取り組んでいる産地と位置づけられる。
- GAPとは、Good Agricultural Practice の略称で、一般的には「農作業工程管理」「適正農業規範」と訳されている。農作物生産の各段階で、食品の安全確保などへ向けた適切な農業生産を実施するための管理のポイントを整理し、それを実践・記録する取り組みである。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 宮城県版野菜GAPの確立
- 予算区分
- 執行委任
- 研究期間
- 2006 〜 2007 年度
- 研究担当者
- 佐藤典子、大森裕俊、佐藤祐子、泉澤弘子
- 発表論文等
- 1)佐藤(2007)農業経営通信No.234:10-13