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シルバー人材センターに対する農業者の評価と会員の農作業に対する意向

[要約]

シルバー人材センター利用農家は同センターの斡旋機能を高く評価しているが、就業者の農作業能力等に対して満足度が低い。同センター会員の約半数が農作業での就業を希望していることから、今後農作業労力として活用できる。

[キーワード]

雇用労働力、高齢者、シルバー人材センター

[担当]

宮城農園研・情報経営部

[代表連絡先]

電話022-383-8119

[区分]

東北農業・基盤技術(経営)

[分類]

行政・参考

[背景・ねらい]

雇用型農業経営は、家族労働力の低下に伴い増加している。以前は地縁・血縁による被雇用者が多かったが、最近は労働力の需給調整を行っている外部組織の利用も増えている。そこで、代表的な外部組織であるシルバー人材センターを利用している農業者の評価とシルバー人材センター会員(以下、シルバー会員)の農作業への就業意向調査から利用農家の満足度向上方策と高齢者の農作業での就業の可能性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. シルバー会員を利用している農業者は、他の雇用者と区別なく仕事を任せている(図表略)。また、シルバー会員は仕事が丁寧であり、細かい作業を任せられる等、作業内容に関して評価が高い(図1)。
  2. CS 分析の結果、シルバー人材センターに対する農業者の評価は全般的に満足度が高い。特に,斡旋機能に関する項目での評価が高く,相対的に評価が低かった項目は,人材に関するもの(「シルバー会員の農作業能力」や「農作業を頼める人材の豊富さ」)である(図2)。
  3. シルバー会員は、回答者の53 %が農作業での就業を希望している(図表略)。就業希望者は、農作業の経験があるシルバー会員が多い(表1)。また、就業希望がない回答者は作業強度・作業内容に不安を感じている人が多い(表2)。
  4. シルバー人材センター利用農家の満足度向上とシルバー会員の農作業就業への不安解消は、センターが主催する『シニアワークプログラム』などの技能訓練制度に、農業の体験や研修等のプログラムを加えることが有効と考えられる。これにより、シルバー人材センターにおける農作業での就業者の増加や能力向上が期待できる(表1図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. シルバー人材センターを活用した臨時的な補助労働力の推進や高齢者の雇用場の拡大のための参考データとして活用できる。
  2. 本調査は、@シルバー人材センター利用農業者へのアンケート(大崎市・名取市・岩沼市・亘理町でシルバー人材センターを利用している全農業者79 戸へ郵送での配布・回収を行った。回収42 戸、回収率61 %。H18 年10 月実施)とAシルバー人材センター会員へのアンケート(仙台市・名取市・亘理町・古川市のシルバー人材センターの会員、各シルバー人材センターの総会時に配布しその場で回収。回答数679 名。平成17 年5 月実施)の結果をまとめたものである。
  3. CS(=Customer Satisfaction、顧客満足度)分析は、各項目の満足の程度と総合評価を調査することで、より評価を高めるために必要な項目を明らかにできる手法である。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
高齢者人材資源が農業に参入できる要件の解明と高齢者向け作業指標の作成
予算区分
県単
研究期間
2005 〜 2007 年度
研究担当者
横田悦子、櫻井晃治、高橋真紀、相澤正樹、山村真弓