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高齢者の刈払作業負担軽減効果

[要約]

65 歳〜75 歳高齢者の刈払作業能率は3a/h 程度となり,作業負担(RMR)は3〜4 となる。作業負担の軽減には軽量刈払機を、作業能率向上にはATCS 装置付き刈払機を用いることが有効である。また、70 代高齢者は刈払い作業をつらく感じており,更なる軽労化が求められる。

[キーワード]

刈払機、軽量化、スロットル自動制御、高齢者、作業負担、軽労化

[担当]

宮城農園研・情報経営部

[代表連絡先]

電話022-383-8114

[区分]

東北農業・基盤技術(作業技術)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

高齢者などが農作業を行う場合の負担を軽減し,安全に作業できる農作業基準の作成や作業方法への見直しを行う。ここでは、作業負担軽減対策として、本体の軽量化や操作性を向上させた刈払機機種別作業負担や作業能率の調査を行い,高齢者向けの刈払い作業方法・作業機の検討やより安全な作業方法の検討を行う。

[成果の内容・特徴]

  1. 65〜75 歳高齢者の刈払作業能率は3a/h 程度となり,作業負担(RMR)は3〜4 となる。重量の軽い刈払機を使用することで作業負担を軽減することができる(表2)。
  2. 60 代高齢者は70 代の高齢者に比べて作業能率が高くなる。それに伴い,作業負担も60 代高齢者の方が高くRMR5 程度の重作業になる(表2)。60 代高齢者の安全な作業には,軽量機の利用が一手段となる。
  3. 70 代の高齢者は,軽量機を使用することで作業負担を上げずに,作業能率を同等に維持できる。また,70 代の高齢者は,刈払い作業を自覚的にきつい作業と感じていることから,作業の軽労化が求められている(表2)。
  4. スロットル操作を不要にして操作性を向上させたATCS 機を使用することにより,慣行使用機と同じ中等度作業負担のまま、作業能率は30%程度向上させられる(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 調査実施時期は,2006 年8 月〜9 月および2007 年9 月〜2007 年10 月である。各作業機毎に1 時間程度の作業を行った。
  2. 調査場所は、宮城農園研水田圃場周辺のほぼ平坦な場所である。調査時の草丈は、おおむね40cm〜50cm である(図1)。
  3. ATCS(エンジン回転数自動制御装置)機は、(株)新宮商行が開発したスロットル操作不要な刈払機である(標準小売価格68,250 円/台)。
  4. WBGT(Wet Bulb-Globe Temperature Index(湿球・黒球温度指数))は、湿球温・黒球温・乾球温を計測し、算出する作業者の熱ストレスを評価する温熱指標である。WBGT と労働強度(RMR)の許容値が日本産業衛生学会から勧告されている。具体的には,WBGT32.5℃をこえる環境下ではRMR1 の極軽作業まで,WBGT29.0℃まではRMR3の中等度作業まで,WBGT26.5 まではRMR5の重作業まで,などの許容値となる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
高齢者人材資源が農業に参入できる要件の解明と高齢者向け作業指標の作成
予算区分
県単
研究期間
2005〜2007 年度
研究担当者
相澤正樹、山村真弓、横田悦子、桜井晃治