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自給飼料主体発酵TMRの貯蔵期間と生菌数
[要約]
安定した品質の発酵TMRを調製するための貯蔵期間は平均気温が20℃程度では10日以上が望ましい。一方、10℃以下の環境では20日以上貯蔵しても好気的変敗の原因菌である酵母は残存する。
[キーワード]
発酵TMR、好気的変敗、貯蔵期間
[担当]
岩手農研セ・畜産研究所・飼料生産研究室
[代表連絡先]
電話019-688-7317
[区分]
東北農業・畜産
[分類]
東北農業・畜産
[背景・ねらい]
サイレージでは調製後一定期間をおいて十分に発酵させた後に利用する技術が浸透している。しかし、発酵TMRの発酵に対する現場の関心は低く、発酵が不十分なまま開封される事例が少なくない。そこで、発酵TMR の調製に望ましい貯蔵期間を品質保持や好気的変敗防止の見地から検討する。
[成果の内容・特徴]
- 発酵TMR(表1)のpHが低下するには外気温が高い場合(7、9月調製:平均気温21.5℃、最高最低気温39.1〜6.7℃)は5日から7日かかる。また、細断型ロールベーラ調製と圧縮梱包機調製の間のpH低下の早さには大きな差はみられない。外気温が低い場合(11月調製:平均気温0.0℃、最高最低気温10.9〜−9.8℃)はpHの低下は60日かかる(図1)。
- 外気温が高い場合は、乳酸菌は3日間で増加し、酵母数は7日から10日で減少する、大腸菌群は10日目以降検出されない。外気温が低い場合は、乳酸菌は徐々に増加し、酵母数は減少せず、大腸菌群が検出されなくなるには20日以上かかる(図2)。
- 外気温が高い時期に調製した発酵TMRにおいても、開封後の発熱は調製後5日の発酵TMRでは約24 時間後に認められるが、調製後10 日目では72 時間経っても認められない(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- 自給飼料を活用したTMRセンター等による効率的な発酵TMR生産に活用できる。
- 冬場に調製する発酵TMRの望ましい貯蔵期間においては今後検討する必要がある。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 発酵TMR飼料の調製並びに乳牛への給与技術の確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2004-2007年度
- 研究担当者
- 平久保友美、越川志津、増田隆晴(中央農普セ県域普及G)小林礼佳(中央農普セ県域普及G)、伊藤修(中央農普セ県域普及G)、河本英憲(東北農研セ)