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水産現場でのヒトデたい肥化技術
[要約]
ヒトデは、腐敗が早く、強い臭気を発生するため、水産現場でたい肥化処理を行う必要がある。たい肥化するためには、新鮮ヒトデ1+完熟たい肥3+モミガラ(容積重調整)+廃植物油(全体重量5%)を混合することで、臭気の発生を抑制し問題なくたい肥化できる。
[キーワード]
たい肥化、ヒトデ、臭気
[担当]
宮城畜試・草地飼料部・環境資源チーム
[代表連絡先]
電話0229-72-3101
[区分]
東北農業・畜産
[分類]
技術及び行政・参考
[背景・ねらい]
沿岸域の主要な漁業である刺網、底曳き網において、ヒトデが大量に混獲され、漁獲効率の低下を起こして問題となっている。安定した漁業生産を維持するためには、ヒトデの分布量、各種漁法で混獲されるヒトデの量を把握するとともに、混獲されたヒトデを陸揚げし、適切な処理を進める必要がある。ヒトデを単に水産系産業廃棄物として処分するのではなく、資源として有効に利用できる技術を確立する。ヒトデをたい肥化処理する際、臭気の問題があるため新鮮な状態でのたい肥センター搬入が必要となる。センターの受け入れ体制や運搬距離を考えると現実的には困難である。
そこで、臭気の発生を抑えるため、腐敗する前に新鮮なヒトデを水産現場でたい肥化する方法について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 新鮮ヒトデ1(重量比)+完熟たい肥3(重量比)+モミガラ(容積重調整700s/m3以下に) +廃植物油(全体重量の5%)を混合し、通常のたい肥化と同様に管理することで臭気の問題なくたい肥化できる。
- 廃植物油を添加し、切り返しを十分行うことで、発酵温度は約70 ℃まで上昇し、たい肥化が順調に進む(図1)。
- 廃植物油添加により、図2に示すとおりたい肥化過程の臭気が抑えられる。
- 仙台湾のヒトデをたい肥化したものは、重金属等問題なく(表1)、作物への影響もない(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 水産廃棄物のヒトデをたい肥として有効活用できる。
- スタート時の容積重調整(700 s/m3以下)および、切り返し・撹拌を十分に行うなどたい肥化の基本技術を守って管理する。
- ヒトデは、炭酸カルシウムを多量に含んでいるため、通常の牛ふんたい肥よりカルシウム含量が高く、また、カリウム含量が低い特徴を持っている。
- ヒトデは、海域によって重金属特にカドミウム含有量が多い場合があるので、成分分析を行い、適正量の施用とする。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- ヒトデの有効活用に関する試験
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2006 〜 2007 年度
- 研究担当者
- 日野義彦、菅原賢一、押野明夫(宮城県水産研究開発センター)、藤原健(宮城県水産加工研究所)