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多収・良食味水稲新品種「秋田89号」の採用
[要約]
水稲「秋田89号」は、中生の晩の粳種で千粒重が大きく、玄米蛋白質含有率が低く、柔らかい食感が特徴の良食味品種である。いもち病圃場抵抗性、耐倒伏性ともに「ひとめぼれ」より強く、収量が多く安定生産が期待できる。秋田県において2008年に奨励品種に採用する予定である。
[キーワード]
イネ、秋田89号、秋田県、良食味、安定生産
[担当]
秋田農技セ農試・作物部
[代表連絡先]
電話018-881-3330
[区分]
東北農業・作物
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
秋田県の水稲栽培は、主力品種である「あきたこまち」に作付が偏重する状況にあり、他の品種への作付け誘導が進められている。このため、多様化している米需要へ対応できる品種が求められている。秋田89号は、安定生産が可能で「あきたこまち」と異なる食感を持っていることから、奨励品種に採用することにより、秋田県の良食味品種ラインナップの一翼を担う事ができる。
[成果の内容・特徴]
- 水稲「秋田89号」は、「岩南8号/秋田58号」後代から育成された品種で、出穂期および成熟期は「あきたこまち」より遅く「ひとめぼれ」並の中生の晩に属する。「ひとめぼれ」と比較し、稈長は並で、穂長はやや長く、穂数は少ない“中間型”である(表1)。
- いもち病に対する圃場抵抗性は、葉いもちが“中”、穂いもちが“やや強”で、「ひとめぼれ」や「めんこいな」に優る(表1)。
- 耐倒伏性は、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」より強く「めんこいな」並である(表1)。
- 玄米収量は、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」より多く、「めんこいな」並に多収である(表1)。
- 玄米外観品質は、「ひとめぼれ」、「あきたこまち」並に良好で、玄米千粒重が大きく、玄米蛋白質含有率が低い(表1)。
- 食味は、「あきたこまち」、「ひとめぼれ」並に良好で、飯米の硬さは柔らかい(表2)。
- 現地試験においても、玄米収量は「ひとめぼれ」、「あきたこまち」よりほぼすべての地点で多く、玄米外観品質は「ひとめぼれ」、「あきたこまち」並に良好である(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 秋田県の県南内陸平坦部を中心とした、秋田県内平坦部一円(A1,A2地帯)に、10000ha程度の普及が見込まれる(図1)。
- いもち病圃場抵抗性は、穂いもち“やや強”であるが、葉いもちが“中”のため適期防除に努める。
- 耐倒伏性は“やや強”であるが、品質低下を防ぐため、多肥栽培は避ける。
[具体的データ]



[その他]
- 研究課題名
- 水稲奨励品種決定調査
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2004〜2007年
- 研究担当者
- 柴田智、佐藤馨、佐藤雄幸、佐野広伸、三浦恒子、眞崎聡