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密封式鉄コーティング湛水直播の特徴
[要約]
密封式鉄コーティング湛水直播はコーティング後の発熱がないため、発芽率低下の
危険が少ない。また、催芽種子を表面播種するためイネの出芽が早く、除草剤の使用回数
低減が期待できる。
[キーワード]
水稲、湛水直播、鉄コーティング、密封式
[担当]
山形県農業総合研究センター農業生産技術試験場庄内支場・水稲研究科
[代表連絡先]
電話 0235-64-2100
[区分]
東北農業・作物(稲栽培)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
水稲栽培における従来の鉄コーティング湛水直播(以下従来式)はコーティング後の発熱により発芽率低下の危険がある。また、過酸化カルシウム粉粒剤16コーティング (以下慣行式)に比べ出芽が遅い。その結果、除草剤の散布可能な時期が狭く、イネ1葉期だけでは雑草防除が困難となり、入水直後や中・後期除草剤の散布が必要になる事例が多い。そこで、発熱せず、出芽の早い鉄コーティング法への改良を湛水条播において検討する。
[成果の内容・特徴]
- 密封式はコーティング後の種子を直ちにポリ袋に入れ、口を縛ることで発熱による発芽率低下を防止する(図1、2)。また、放熱作業が不要なため省力的である。
- 密封式は播種前に加温もしくは室温で静置(20℃2〜3日程度)し、催芽してから播種するため、従来式より7日程度出芽揃いが早い(表2)。
- 密封式は冷蔵(5℃) し、途中で開封しなければ、約1ヶ月間保存可能である(表1)。
- 従来式では イネ1葉期における除草剤散布が出来なくなる可能性があるため、前処理が必要となる(表2)。一方、密封式では出芽が早いため散布時期が広く、効果的な除草が期待できる。
[成果の活用面・留意点]
- 従来式の作製は山内稔.2006.鉄コーティング湛水直播栽培マニュアルに従った。
- 0.5倍量粉衣の場合コーティング種子の重量は乾籾の1.9倍程度になる。
- 催芽程度は「ハト胸」程度(催芽長1mm以内)を基準とする。
- 袋から開封した種子は発熱が始まるため、1〜2時間以内に全て播種する。
- 作業後の機械・機具類は放置すると錆が発生するので速やかに洗浄する。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 新農業資材の実用化技術の開発
- 予算区分
- 受託
- 研究期間
- 2006〜2007年度
- 研究担当者
- 今川彰教、松田裕之、柴田康志