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イネのカドミウム高吸収能に関連する特性

[要約]

カドミウム(Cd)汚染土壌の修復に用いるCd 高吸収イネはCd の茎葉部分布比(Cd 吸収量に対する茎葉部吸収量の比)が高く、この特性は水耕栽培した6.5 葉期苗でも検出できる。

[キーワード]

カドミウム、イネ、高吸収、茎葉部分布比

[担当]

秋田県農林水産技術センター農業試験場・原種生産部・系統管理担当

[代表連絡先]

電話018-881-3330

[区分]

東北農業・基盤技術(土壌肥料)

[分類]

研究・参考

[背景・ねらい]

イネを用いたカドミウム(Cd)汚染土壌修復のフィールド試験が行われているが、土壌修復能に優れる植物では地上部への高Cd 吸収能が重要な形質のひとつである。これまでにイネの可食部や茎葉部へのCd 吸収能に品種間差異のあることが明らかにされているが、Cd 吸収機構については充分解明されていない。本研究では、イネの部位別Cd 吸収量に着目した特性調査により、イネのCd 高吸収能に関連する特性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 1.4 mg kg -1 の Cd 含有土壌で、Cd 高吸収イネの「密陽23 号」と「ハバタキ」、低吸収イネの「ふくひびき」と「日本晴」を底面吸水条件でポット栽培すると、出穂10 日後に高吸収イネの茎葉部Cd 吸収量が低吸収イネより有意に多くなる。(図1
  2. 根部 Cd 吸収量はいずれの生育時期においても高吸収イネのほうが低吸収イネより少なく、茎葉部吸収量とは逆である。(図1
  3. Cd の茎葉部分布比(Cd 吸収量に対する茎葉部Cd 吸収量の比)はいずれの生育時期においても高吸収イネの方が高い。(図1
  4. 水耕栽培した 6.5 葉期苗のCd 吸収量には、Cd 高吸収イネ11 品種と低吸収イネ5 品種での差異が認められないが、Cd 高吸収イネには茎葉部分布比の高い品種が多く、6.5 葉期苗を用いた水耕栽培での茎葉部分布比を調べることによりCd 吸収能の高い品種や系統の選別が可能である。(図2
  5. 顕著に高い茎葉部分布比を示す品種「長香穀」ではCd の葉鞘と葉身の分布比が他の2 品種より高い。(表1

[成果の活用面・留意点]

  1. Cd 吸収機構解明や土壌修復イネの開発に活用できる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
主要農作物のカドミウム吸収・蓄積を抑制するための総合管理技術の開発
予算区分
受託(有害化学物質)
研究期間
2003〜2007 年度
研究担当者
北川悦子、田口茂春、佐藤友博