研究所トップ≫研究成果情報≫平成19年度
イチゴ「なつあかり」の越年苗利用による夏秋どり技術
[要約]
イチゴの夏秋どり栽培には「なつあかり」の越年苗を利用した春定植が有利である。5月から11月までの商品果収量は株当たり600〜700gで、越年苗の採苗時期は8月下旬から9月中旬が適する。
[キーワード]
イチゴ、夏秋どり、なつあかり、越年苗、春定植、採苗時期
[担当]
青森農林総研・畑園試・栽培部
[代表連絡先]
電話0176-53-7171
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
我が国のイチゴ生産は夏秋期が端境期となり、業務用を中心に生果4,000t 程度が輸入されているが、市場やケーキ等を扱う業界からは国産イチゴの供給が強く望まれている。また、冬春どり主体の産地からは雇用の通年化が望まれている。そこで、新たに開発された四季成り性品種「なつあかり」の夏秋どり栽培において、苗の種類、育苗方法、定植時期の違いが収量、品質等に及ぼす影響について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 夏秋どり栽培(図1)において、「なつあかり」は商品果収量が多く、食味が良好で、比較的果実が硬く、品質が安定する(表1)。
- 夏秋どりには越年苗の4月定植が、当年苗の6月定植よりも商品果収量が多く有利である(表1)。
- 青森では、越年苗の採苗時期は8月下旬〜9月中旬が適し、10月上旬採苗のものでも十分使える(表1)。
- 青森では露地の親株圃において、「なつあかり」は株当たり10本程度の1次ランナーを発生する。この1次ランナーを12cm 径ポリポット上で受け、活着後に切り離し、雨よけハウスで引き続き受けポット採苗することで大量の越年苗が確保できる(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果はハウス土耕栽培での結果である。
- ハウス内気温が35℃を超えると不受精果や種浮き果等が発生するので、5月から9月前半にかけてハウス全体を遮光(遮光率55%程度)して管理する等の高温対策をとる。
- 9月下旬以降は生育遅延や矮化防止のために保温に努め電照処理を行う。
- 夏期の収穫は午前中に行い、コールドチェーン輸送体系で出荷する。
- 「なつあかり」は独法農業・食品産業技術総合研究機構東北農業研究センターで育成され平成19年8月7日に品種登録された品種であり、親株苗は専門の取扱業者から購入する。
[具体的データ]



[その他]
- 研究課題名
- やませ気象地域における夏秋どり新作型の開発
- 予算区分
- 交付金プロ(寒冷地イチゴ)
- 研究期間
- 2003〜2007年度
- 研究担当者
- 岩瀬利己、庭田英子、村上卓司