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イチゴ「北の輝」秋春二期どり作型で採苗効率を向上させる2回採苗法
[要約]
イチゴ「北の輝」を用いた秋春二期どり作型において、ランナー切断同時短日処理、または採苗同時短日処理を組み合わせて、同一親株から2回採苗することにより、7月末までに短日処理が完了した定植苗が約2倍得られる。
[キーワード]
イチゴ、北の輝、秋春二期どり、2回採苗、短日処理
[担当]
岩手農研・園芸畑作部・野菜畑作研究室
[代表連絡先]
電話0197-68-2331
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
イチゴ秋春二期どり作型では、6月中旬から短日処理を開始するため、採苗時期が通常の促成作型よりも早く、さらにランナー発生の遅い「北の輝」を用いることから、採苗効率が低いことが課題である。
そこで、鉢受け直後の若苗でも短日処理による花成促進が可能であることを利用し、採苗・育苗の効率化をはかる方法について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 同一親株から5月中旬とその3〜4週間後の2回の採苗を行うことにより、7月末までに短日処理が完了した定植苗を慣行の約2倍得ることができる(表1)。
- 1回目の採苗は5月中旬に行い、2週間後にランナーを切断、その後2週間の養成を経て短日処理を開始する。2回目の採苗は6月上〜中旬に行い、6月上旬採苗の場合は鉢受け後2週間でランナーを切断し短日処理を行う「ランナー切断同時短日処理」を行う。また、6月中旬採苗の場合は、鉢受けと同時に親株と子苗を連結したまま短日処理を開始する「採苗同時短日処理」を行う(図1)。
- 6月下旬に短日処理を開始すると花芽分化が遅延もしくは停滞し、定植が8月以降に遅れ、秋期収量が減少する(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果における供試品種は「北の輝」であり、採苗は鉢受けで行った。
- 採苗同時短日処理では、2 週間後にランナーを切断する。
- 採苗1回目の苗においても「ランナー切断同時短日処理」または「採苗同時短日処理」が可能であるが、盛夏期の収穫を避けるため慣行通り6月中旬からの短日処理開始、7月中旬以降の定植とすること。
- 「北の輝」を用いた秋春二期どり作型では、5月中〜下旬が収穫最盛期(収穫・調製・出荷作業で10a当たり約600 時間)であり、田植えなど農繁期に重なるため採苗作業が困難であったが、本技術により採苗作業の平準化を図ることができる。
[具体的データ]



[その他]
- 研究課題名
- 東北北部内陸地域におけるイチゴ夏秋どり新作型の開発
- 予算区分
- 交付金プロ(寒冷地イチゴ)
- 研究期間
- 2003〜2007 年度
- 研究担当者
- 高橋拓也( 岩手農研)