研究所トップ≫研究成果情報≫平成19年度
着果調整による夏秋雨よけトマトの盛夏期収穫量の抑制と秋期増収
[要約]
6段花房上部の主枝更新処理または6段花房直下の主枝更新処理により、8月盛夏
期の総収穫量が1/2 程度に抑制されるとともに、9〜10 月の商品果収量が増加する。
[キーワード]
トマト、着果調整、主枝更新、秋期増収
[担当]
岩手農研・園芸畑作部・南部園芸研究室
[代表連絡先]
電話0192-55-3733
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
夏秋雨よけトマトの長段収穫栽培では8月上旬〜中旬に出荷量が集中し、その後の出
荷量が減少する現状にあるため、市場等からは9月以降の出荷量の拡大を求められてい
る。また、8月の旧盆時期は市場の価格形成力が弱い傾向にある上、収穫作業等への雇
用労力の確保も困難である。それに対して、9〜10 月は比較的有利な価格形成が期待で
きるため、この時期の出荷量を増加することは、生産農家の収益性向上に結びつく。
そこで、8月旧盆時期の出荷ピークを崩すとともに、9月以降の出荷量を確保するこ
とが可能な着果調整技術として、主枝更新及び摘花房による処理効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 6段花房上部の主枝更新処理は、花房直下の側枝発生を確認した上で、処理花房の上
1枚の本葉を残して主枝を摘心する。6段花房直下の主枝更新処理は、花房直下の側枝
の発生を確認した上で、花房ごと主枝を摘心する(図1、図2)。処理時期は6月20 日
頃とする。
- これらの着果調整処理により、高単価が期待できる9〜10 月の商品果収量は、慣行対
比で17〜15%増加する。栽培全期間の商品果収量、商品果1果重は、慣行とほぼ同等で
ある(表1、図3)。
- これらの着果調整処理により、8月10〜19 日の10 日間における総収穫量は慣行対比
で約1/2 に抑制され、旧盆時期における収穫作業の負担が軽減される(図4)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果は、夏秋雨よけトマトの基本作型である4月下旬定植において、「桃太郎8」
を用いた長段収穫栽培に適用される。
- 主枝更新処理は、処理後の草勢が弱くなりやすいので、適正な草勢維持が図られるよ
う、処理前後の肥培管理に留意する。
- 本成果は単年度の試験結果に基づくものであり、気象条件による年次変動を考慮する
必要がある。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 高品質・高付加価値トマトの生産供給技術確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2007 年度
- 研究担当者
- 佐藤 弘、藤尾拓也