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トマト(海外品種)の夏秋どり栽培における果実収量および果実品質
[要約]
海外(オランダ等)で栽培されている赤系品種を夏秋どり作型で養液栽培すると、果実品質は糖度、酸度とも国産品種より低いが、商品果率、果実収量ともに高く,果皮硬度は固いので業務用トマトに適する。
[キーワード]
トマト、赤系品種、養液栽培、夏秋どり
[担当]
宮城県農業園芸総合研究所 園芸栽培部 野菜チーム
[代表連絡先]
電話022-383-8132
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
国内のトマト生産においては、販売単価の低迷や生産コストの増大によって収益が低下している。また、生鮮野菜としての消費量は頭打ちの傾向にあるが、業務用(ハンバーガーショップやレストラン、サラダなどの総菜)としての使用量は増加している。そこで、海外で栽培されている「赤系」品種を夏秋どり作型で養液栽培し、生産性や果実品質を調査し,業務用トマトとしての適性を評価する。
[成果の内容・特徴]
- 「Grace」、「Quest」を除き、果実収量は国産の品種より高く、商品果率も高い(表1)。
- 果実サイズが180 g 以上となる品種(「Don Carlo」、「Dundee」、「Erophily」、「Geronimo」、)と、160g 程度でハウス桃太郎、ルネッサンスとほぼ同じ大きさの品種(「Matrix」、「Azarro」、「Quest」、「Grace」)、それより小型の品種(「Clarance」、「Tresco」、「Ladiva」、「Lemance」、「Tricia」)とに分けられる(表1)。
- 果皮硬度は「Matrix」、「Dundee」、「Clarance」、「Erophily」、「Labell」で特に高い。「Geronimo」を除いて、糖度は「ハウス桃太郎」や「ルネッサンス」より低い。酸度は同程度かやや低いものが多い(表2)。
- 商品果率、果実収量、果皮硬度の点で国産品種よりも業務用トマトに適している。
[成果の活用面・留意点]
- 国内主要品種の一般的な肥培管理で養液栽培した(培養液管理は、大塚A 処方でEC0.8〜1.2 dS/m 程度とした。
- 耕種概要:播種2006 年3 月15 日、定植、4 月18 日、株間20cm、畝間180cm として、やし殻繊維を培地とする養液栽培システム(宮城型養液栽培システム、培地容積は8 リットル/株)に定植。
- 単年度試験の結果である。
[具体的データ]


[その他]
- 研究課題名
- 特色ある産地作りを可能にする果菜類の高品質安定生産技術の確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2007〜2009
- 研究担当者
- 岩崎泰永、漆山喜信