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イチゴ夏秋どり栽培における根圏気相環境制御システム

[要約]

培地内の二酸化炭素濃度をモニターしながら通気を行うことで果実収量が増加する。培地内の二酸化炭素濃度は生育に大きく影響すること、また通気の効果は培地内の二酸化炭素の排出であることが示唆される。

[キーワード]

イチゴ、夏秋どり、気相、通気、二酸化炭素、根圏、培地

[担当]

宮城県農業園芸総合研究所 園芸栽培部 野菜チーム

[代表連絡先]

電話022-383-8132

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

イチゴ夏秋どり栽培において、培地内に通気すると果実収量が顕著に向上することが知られており、その要因の一つとして培地内の炭酸ガス濃度が低くなること推察されている。これらの知見に基づき、培地内の炭酸ガス濃度を測定し、所定の濃度以下となるように制御するシステムを試作し、その実用性を評価する。

[成果の内容・特徴]

  1. 開発・試作したシステムの模式図を図1に示す。このシステムは培地内の炭酸ガス濃度を定期的に測定し、設定した濃度以上の場合に培地内に通気する(図1)。やし殻繊維を培地とする高設養液栽培システムのベッド中央、培地表面から10 cm に多孔質ゴム製のホース(内径9.2 mm、商品名シーパーホース(株)ユニホース製)を埋設する。ポーラスカップを加工した空気採取器具を培地中に表面から10 cm のところに埋設する。30 分に一度、小型直流ポンプで培地中の空気を吸引採取し、炭酸ガス測定装置に導入して濃度を計測し、所定の濃度以上の場合にはコンプレッサーからの空気を多孔質ゴムホースを通して培地内に送り込む。
  2. イチゴ夏秋どり栽培において、培地内の炭酸ガス濃度が500 ppm 以上となった場合に通気すると果実収量が増加する(図2)。糖度、硬度に対する影響はみられない(データ略)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 宮城型養液栽培システムを利用した場合の試験結果である。
  2. 10 a 当たりの資材費の目安は以下の通り
  3. 培地内通気がイチゴの果実収量に及ぼす影響については平成15 年度成果情報「イチゴ夏秋栽培における培地内通気が果実収量に及ぼす影響」を参照。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
根圏気相環境制御システムの開発
予算区分
受託( 東北電力)
研究期間
2006
研究担当者
岩崎泰永、漆山喜信