研究所トップ≫研究成果情報≫平成19年度
果実肥大性に優れ、発酵果が少ないネットメロン新品種「こまちクィーン」
[要約]
地這い栽培に適した緑肉のネットメロン「こまちクィーン」を育成した。この新品種は県内の主力品種「KA-91」より果実肥大性に優れ、発酵果の発生が少なく、収穫期の判定が容易であるため高品質な果実を生産できる。
[キーワード]
地這い栽培、緑肉、ネットメロン、こまちクィーン、発酵果
[担当]
秋田農技セ農試・野菜・花き部・園芸育種担当
[代表連絡先]
電話018-881-3330
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
近年、国内でのメロン消費量は低迷しており、本県でも地這いメロン栽培面積は減少の一途をたどっている。このようにメロンが消費者に敬遠されるようになった要因の一つに、発酵果や未熟果といった、外観で判別しにくい不良果の混入により、食味品質が不安定なことがあげられる。そこで、本県産メロンの消費拡大を図るために、県内の主力品種「KA-91」(商品名:“秋田美人”)と比較して発酵果が少なく適期に収穫可能な、併せて果実肥大性を重視した独自品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
- 「こまちクィーン」は、市販のネット系メロン「KM−729HG」の後代固定系統を母本に、同じく市販の「市場小路」の後代固定系統を父本として組み合わせたF1品種である(図1)。2006年4月に種苗法に基づく品種登録出願をした(出願公表中)。
- 果実は「KA-91」とよく似た外観であるが、果重が大きく、果皮色がやや濃く、ネットはやや太く、やや高い(表1、写真1)。
- 糖度は「KA-9 1 」と同様に15度以上と高く、果肉は黄緑色で厚く、肉質は「KA-91 」よりやや軟らかいが、収穫後の急激な実くずれがない。また、発酵果の発生もなく、あっさりとした食感で食味評価が「KA-91」より高い(表1、写真2)。
- 成熟期に、着果枝葉の黄化や褐変が「KA-9 1 」より強く現れるため、果実ごとの収穫期の判定が容易で適期収穫が可能である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 発酵果が少ない特性を生かした高温期収穫の露地一重トンネル栽培に適する。また、果実肥大性に優れ、低温肥大性を要求されるハウス半促成栽培にも適応する。
- 肥大力旺盛なため、極端な保温や蒸し込みは不要である。既存品種より強めの換気をしてコンパクトな茎葉を作ることにより、生育後半の草勢維持と秀品生産に結びつける。
- 種子の供給については、当面秋田県内限定とする。
[具体的データ]





[その他]
- 研究課題名
- 市場競争力のある野菜オリジナル品種の育成
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 1997〜2007年度
- 研究担当者
- 椿信一、佐藤友博
- 発表論文等
- 品種登録出願公表中(出願番号第19606号)