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夏秋どりイチゴの増収・高品質化に役立つ二槽ハンモック気化冷却ベンチにおける送風システム
[要約]
四季成り性品種による夏秋どりで、送風システムを付加した二槽ハンモック気化冷却ベンチで栽培すると、花房数の増加と奇形果の減少により上物収量が増加する。送風システムの10a 当たりイニシャルコストは238 千円、ランニングコストは32 千円程度である。
[キーワード]
イチゴ、夏秋どり、四季成り性品種、高設栽培、気化冷却、送風、昇温抑制
[担当]
山形最上産地研究室
[代表連絡先]
電話0233-22-2201
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
近年、イチゴ栽培では、夏秋栽培でも作業性に優れる高設ベンチの導入が進んでいるが、高温期には、培地温度の上昇や気温の上昇から収量や果実品質の低下が課題となっている。そこで、気化冷却を活用した低コスト培地冷却装置「二槽ハンモック気化冷却ベンチ」における送風システムが培地冷却とイチゴの株周囲の昇温抑制に及ぼす効果について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 二槽ハンモック気化冷却ベンチにおける送風システムは、送風機とダクトチューブで構成し(図1)、ベンチの通風口から0.8 m/s 程度で株周囲に向けて送風する。これにより、ハウス気温が30℃を超えるような高温時に、培地温を1〜2℃、株周囲の気温を最大4.7℃低下させることができる(図1)。
- 送風システムには、四季成り性品種の夏秋栽培において、花房数の増加、奇形果の減少、上物収量増加の効果がある(表1)。
- 送風システムは、6 月から10 月の期間に、日中(6 時から18 時)、またはハウス内気温20℃以上で稼働させると、増収効果が高い(図2)。
- 送風システムの導入に伴うイニシャルコストは、10a 当たり238 千円で、栽培期間のランニングコストは、10a 当たり32 千円程度である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 送風システムのランニングコストは、南東北中山間地域をモデルとした場合で、栽培期間の消費電力量は10a あたり750kwh(1015 時間稼働)、電気料金は、農事契約において月基本料金を598.5 円、1kwh あたり電力量料金を11.56 円とした場合である。
- 二槽ハンモック気化冷却ベンチの装置性能や形状等については、平成17 年度東北農業研究成果情報「寒冷地イチゴ夏秋どりに適応する二槽ハンモック方式の気化冷却高設ベンチ」を参照する。
- 二槽ハンモック気化冷却ベンチは、特許出願しており、導入にあたっては特許等実施許諾契約の締結が必要である。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- 四季成り性品種を用いた高設栽培による夏秋どり栽培技術の開発
- 予算区分
- 交付金プロ(寒冷地イチゴ)
- 研究期間
- 2003〜2007 年度
- 研究担当者
- 大木 淳、長澤さゆり、工藤郁也
- 発表論文等
- 特許出願(特開2006-271314)