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防虫ネット被覆ハウス内の環境条件と夏秋ナスの高品質生産

[要約]

防虫ネット被覆ハウス内では、露地と比較して風速が顕著に低下する。このハウスで夏秋ナスを栽培することにより、傷果、すれ果の発生が軽減され、商品化率、収量が向上する。

[キーワード]

防虫ネット、気温、地温、風速、夏秋ナス

[担当]

福島農総セ・作物園芸部・野菜グループ

[代表連絡先]

電話024-958-1724

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

技術・普及

[背景・ねらい]

防虫ネット被覆ハウスは、簡易パイプハウス全体をプラスチックフィルムではなく、防虫ネットで被覆した施設であり、害虫の侵入を物理的に抑制する効果に加え、気象災害の回避、収量、品質向上が期待できる栽培方法として、夏秋キュウリを中心に設置面積が増加している。

今後他品目への適応拡大を図るため、夏秋ナス栽培時の施設内環境条件及び栽培適応性を明らかにする。

[成果の内容・特徴]

  1. 目合0.4mm のポリエチレン製防虫ネットを被覆したハウス内の気温、地温及び湿度に、露地との違いは見られない(表1)。
  2. 露地と比較して、同ハウス内の風速は測定位置に関わらず低下し、また露地での風速の強弱に関わらず、ハウス内では一定の風速となる傾向が認められる(図1)。
  3. 夏秋ナスを同ハウス内で栽培することにより、傷果、すれ果の発生が大幅に軽減され、商品化率が向上し、収量が増大する(表2表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 防虫ネット被覆ハウスの設置費用は、10a あたり約1,600 千円(骨材960 千円、被覆材640 千円)である。耐用年数を骨材8年、被覆材5年、残存率を10%とした場合、減価償却費は年間223 千円となる。
  2. 防虫ネットは、ハウス内に害虫が侵入しないように定植前から収穫終了まで全期間被覆とし、苗や作業者を介した害虫の持ち込みに注意する。またアブラムシ類やチョウ目害虫の侵入は抑制できるが、ハダニ類、チャノホコリダニ等微小害虫や病害に対する防除効果はないので適期防除に努める。
  3. 防虫ネット被覆ハウスで夏秋ナスを栽培する場合、受精不良果の発生を抑えるため、訪花昆虫としてミツバチを必ず導入するとともに、ミツバチに影響の少ない薬剤による防除を行うなど訪花活動を停滞させない管理を行う。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
ネット施設内の環境条件の解析
予算区分
県単
研究期間
2006〜2007 年度
研究担当者
木村善明、太田弘志、鈴木安和