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緩衝容量によるイチゴの酸度推定

[要約]

イチゴ果汁希釈液の緩衝容量を、果汁希釈液の水酸化ナトリウム添加前後のpH差と、添加する水酸化ナトリウム量から求めると、滴定酸度の間に高い相関関係があるため、イチゴの酸度を短時間、簡便に推定できる。

[キーワード]

イチゴ、緩衝容量、酸度

[担当]

福島農総セ・生産環境部・流通加工グループ

[代表連絡先]

電話024-958-1719

[区分]

東北農業・流通加工

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

果実の酸度は重要な品質構成要素であり、一般にフェノールフタレンを指示薬として、水酸化ナトリウム溶液による中和滴定によって測定している。しかし、イチゴでは着色のため終点の判定が困難であり、また滴定操作には特殊なガラス器具、分析者の熟練、緊張を伴う長い測定時間を必要とする。このため、イチゴの迅速な品質評価において障害となっている。

ところがイチゴ果汁希釈液の中和滴定曲線を観察すると、滴定初期のpHは添加した水酸化ナトリウム量に対しほぼ直線的に上昇し、その傾き(緩衝容量)と滴定酸度の間に何らかの関係があることが推定されることから、酸塩基理論により解析すると共に、滴定初期の緩衝容量から酸度を迅速・簡便に推定する方法を考案する。

[成果の内容・特徴]

  1. イチゴ果汁希釈液の中和滴定曲線は滴定初期、ほぼ直線に近似し、水酸化ナトリウム添加前後のpH変化値と添加水酸化ナトリウム量から短時間・簡便に緩衝容量を求めることができる。(図1)。
  2. イチゴ果汁希釈液の緩衝容量(dn/dpH)と滴定酸度(%)の間に高い相関関係R =0. 295(Y=0.171X-0.0646)が認められ、緩衝容量値Xから滴定酸度(%)Yを推定しうる(図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 水酸化ナトリウム溶液とpHメーターがあれば、簡便・短時間に緩衝容量を求め、酸度を推定することが可能である。
  2. 酸塩基理論によれば、酸度は緩衝容量とp H の関数である。イチゴの果汁のpHは3.5〜 4.5 で、この範囲ではp H の影響は少ないが、この範囲を超える場合は、pHにより補正が必要と考えられる。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
農産物の品質評価技術の確立
予算区分
県単
研究期間
2006 〜 2007
研究担当者
武地誠一、雨宮潤子