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牛ふんたい肥の連用は雨よけホウレンソウの収穫後しおれを低減する
[要約]
牛ふんたい肥連用土壌で育った雨よけホウレンソウは収穫後しおれが少ない。しおれ低減効果には生育中の土壌物理性の影響が大きいと考えられ、しおれが少ないホウレンソウが育つ土壌条件はpF1.5 における気相率が30〜40%、かつ液相率が25〜35%である。
[キーワード]
たい肥 ホウレンソウ しおれ低減効果 土壌物理性
[担当]
宮城農園研・園芸環境部・土壌環境チーム
[代表連絡先]
電話022-383-8123
[区分]
東北農業・基盤技術(土壌肥料)
[分類]
技術・参考
[背景・ねらい]
この研究は、有機質資材の施用効果を明らかにすることによって、有機質資材を用いた環境に優しい農産物栽培技術の確立を目指すものである。野菜栽培におけるたい肥の施用・連用効果として、雨よけホウレンソウの流通・保存時に重要な項目となるしおれに対する影響を検討し、ホウレンソウのしおれ程度に差が生じる要因と、しおれ低減効果が現れる条件を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 牛ふんたい肥連用土壌で栽培された雨よけホウレンソウはたい肥無施用の化学肥料連用土壌で栽培されたものより収穫時の水分率が少なく、また、収穫後の水分低下が小さくしおれにくい(表1)。
- 牛ふんたい肥連用土壌で栽培されたホウレンソウの重量減少率は豚ぷんたい肥、鶏ふんたい肥、化学肥料連用土壌より小さく、しおれ低減効果が最も大きい(図1)。
- 収穫時の葉内水分含量が少ないほどしおれにくく(図2)、収穫後のしおれ程度には栽培時の低水分状態に対する適応が影響していることが示唆される。
- pF1.5 における気相率30〜40%、かつ液相率25〜35%の領域にある土壌で育ったホウレンソウがしおれにくいことから、牛ふんたい肥連用により気相率が上昇し(図3)、栽培中の土壌が低水分条件となることがしおれ低減効果をもたらすと考えられる。
[成果の活用面・留意点]
- 本試験は、細粒褐色森林土(CEC 27.2meq/100g)であるパイプハウス内圃場、および、1/2000a ワグネルポットで行った。
- パイプハウス内圃場で用いた資材は、牛ふんたい肥(C/N 比13.1、2.5t/10a)、豚ぷんたい肥(C/N 比8.5、0.4t/10a)、鶏ふんたい肥(C/N 比8.5、0.7t/10a)、化学肥料(燐硝安加里S604)であり、1作あたりの無機態窒素量が15kg/10a となるように施用、連用3作目から調査を行った。
- ポット試験では、褐色森林土、黒ボク土、灰色低地土、園芸培土を用い、籾殻および牛ふんたい肥を施用することにより土壌の物理性を変えてホウレンソウを栽培した。
[具体的データ]




[その他]
- 研究課題名
- みやぎの環境にやさしい農産物栽培技術体系の確立−野菜編−(U、V期)
- 予算区分
- 執行委任
- 研究期間
- 2003〜2007 年度
- 研究担当者
- 龍野栄子、今野知佐子