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促成アスパラガス根株の養成年数に応じた最適な掘り取り時期
[要約]
促成アスパラガス栽培で年内に収量100g/株を得るためには、1年株と1.5年株で5℃以下の低温に70〜90時間以上遭遇する必要がある。2年株は20時間程度遭遇すれば目標収量を早期に得ることができる。
[キーワード]
アスパラガス、促成、伏せ込み、萌芽
[担当]
岩手農研・園芸畑作部・野菜畑作研究室
[代表連絡先]
電話0197-68-2331
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
アスパラガスの伏せ込み促成栽培では、早期出荷で高単価が期待できるため、東北地方の冷涼な気象を活用した年内穫りが行われている。しかし、掘り取り時期を早めると収量が安定しない問題があったため、掘り取り時期の目安が求められていた。そこで、一般的な1年養成株、育苗コストの低減のための1.5年養成株(前年夏に育苗し秋に定植)、早期降雪により根株を掘り取ることができず前年から据え置いた2年養成株について、掘り取り時期と収量との関係を検討した。
[成果の内容・特徴]
- 1 年株と1.5 年株では、秋期の5℃以下の低温の遭遇時間が長いほど商品茎収量が増加する。根株養成期間中に70〜90 時間以上の低温に遭遇すると、年内に100g/株以上の商品茎収量を得ることができる(第1図)。
- 2 年株では、5℃以下の低温の遭遇時間が20 時間程度でも100g/株以上の収量を得ることができることから、10 月下旬頃から掘り取りでき、早期出荷が可能である(第1図、第2図)。
- また、2 年株は、低温に150 時間程度あたってからの掘り取りで200g/株以上の収量を得ることができるため、収穫時期は遅くなるものの、多収を狙うことも可能である(第2図)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果を活用することにより、養成年数に応じた掘り取り時期を推定でき、アスパラガスの年内安定生産が図られる。
- 本成果は品種‘ウェルカム’を用いたものである。
- 試験は岩手県北上市で行い、気温は試験地に最も近いアメダス地点(北上)の毎正時の値を用いた。本成果を活用する際は、圃場から最も近いアメダス地点のデータを利用すること。
- 収穫は茎長23cm で行い、茎頂部の曲がりは考慮せず1 本5g以上のものを商品茎とした。
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 寒冷地・積雪下における冬春野菜の安定生産技術の開発
- 予算区分
- 競争的研究資金(高度化事業)
- 研究期間
- 2005〜2007 年度
- 研究担当者
- 山口貴之、山田修、及川一也