研究所トップ研究成果情報平成19年度

圃場環境の改善によるレタスすそ枯病、軟腐病および灰色かび病の軽減技術

[要約]

株間を現地慣行の20%程度疎植にすること、および土壌排水対策の実施は、レタスすそ枯病、軟腐病および灰色かび病を軽減させ出荷可能株率を向上させることができる。

[キーワード]

レタス、腐敗性病害、耕種的防除

[担当]

岩手農研・県北農業研究所・産地育成研究室

[代表連絡先]

電話0195-47-1073

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

近年、高冷地レタスの主要産地では、夏期高温多雨条件下において発生が助長される腐敗性病害(すそ枯病・軟腐病・腐敗病)の多発傾向に伴い、安定した出荷が困難な状況となっており、作柄安定化に向けた総合的な対策が求められている。これは、長年の連作障害や、機械踏圧による排水不良畑の増加、全面マルチ栽培の普及とともに進められた密植化などの、栽培環境の悪化に起因するものと考えられている。そこで、栽培様式や排水対策等の基本技術を再度見直し、栽培環境の改善によるレタス腐敗性病害の軽減技術を確立する。

[成果の内容・特徴]

  1. 腐敗性病害の発生要因と考えられる葉の濡れ時間(湿度99%以上)および25℃以上遭遇時間を減少させるため、栽植密度のうち株間を現地慣行の20%程度疎植にする(表1)。
  2. 圃場全面へのサブソイラー等による心土破砕と、表面水滞留部分への明渠施工を組み合わせた土壌排水対策を実施する(表2)。
  3. 上記1・2を組み合わせた場合、対策を施さない場合に比べてすそ枯病、軟腐病および灰色かび病が軽減し、出荷可能株率が向上する(図1)。
  4. 腐敗性病害の中〜多発年では慣行栽培と同等の出荷ケース数を確保することができる(表3)。
  5. 腐敗病の多発生条件下では、本技術は腐敗病に対して無効である(図1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本試験における排水対策は、サブソイラーを60〜90 p間隔40〜50 p深で、明渠を圃場周囲に幅45 p深さ80 pで施工した。
  2. 疎植化により定植苗数が減るため、自家育苗の場合でおよそ5,000 円/10a、苗を購入する場合でおよそ10,000 円/10a 程度費用削減が可能であると試算される(図表省略)。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
県北・やませ地域の多様な立地条件を活用した野菜生産技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2003〜2007 年度
研究担当者
田代勇樹、吉田樹史、川戸善徳、茂市修平、桐山直盛