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ブロッコリーセル苗への塩水灌水による収穫の斉一化
[要約]
ブロッコリーのセル育苗時、定植1週間前から0.3%食塩水を灌水すると、苗の耐干性が高まり、高温乾燥条件下で定植した場合の初期生育や収穫の斉一性が高まる。
[キーワード]
ブロッコリー、セル育苗、食塩水、耐干性、収穫斉一化
[担当]
福島県農業総合センター浜地域研究所
[代表連絡先]
電話0244-35-2633
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
技術・普及
[背景・ねらい]
近年、露地ブロッコリー栽培は、雇用労力を導入した大規模栽培が増加している。その収穫作業の効率化のためには、収穫時期の斉一性が高いことが重要である。しかし、機械定植で使用する培土容量の少ないセル苗は、夏季高温時の乾燥したほ場での活着や初期生育が悪化しやすく、収穫時期がばらつくことが問題である。そこで、育苗中に食塩水を灌水することにより苗の耐干性を高め、活着や初期生育を改善し、収穫の斉一性を高める技術を開発する。既にキャベツ苗では食塩水施用による耐干性付与技術が開発されているが(藤原ら,2002)、ここでは、新たに、ブロッコリーにおける苗への食塩水灌水技術、および、収穫の斉一化への効果を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- ブロッコリー育苗中に定植1 週間前から食塩水を灌水すると苗の耐干性が高まるが、その際、耐干性を高め、かつ、苗の生育への影響や葉の黄化程度を少なくするためには、食塩水濃度は0.3 %で十分であり、灌水方法は底面給水が適している(図1、表1)。
- 高温乾燥条件下で定植した場合、育苗時に食塩水を灌水した区は、通常の育苗と比較して初期生育が優れ、生育のばらつきが小さく、さらに、収穫日のばらつきが小さい。(図2、3)。
[成果の活用面・留意点]
- 8 月中旬以降の猛暑期を過ぎてからの定植時期では、上記の効果は小さく、通常の育苗をした場合との差が小さい。
- 底面給水には、エブ&フロー方式(1 日2 〜 3 回)で行う。
- 食塩水の頭上灌水(300cc × 1 日2 〜 3 回)の場合は、灌水後葉に着いた水滴を払い落としたほうが良い。
[具体的データ]





[その他]
- 研究課題名
- ブロッコリー大規模栽培における収穫斉一化技術の確立
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2006 〜 2007
- 研究担当者
- 常盤秀夫、水野由美子