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地中熱利用ヒートポンプシステムによる冬期ハウス暖房のCO2排出量削減

[要約]

地中熱利用ヒートポンプシステムによる暖房で、冬期間(外気温-10 〜 5 ℃)のパイプハウス内の気温を10〜20℃に保つことができる。20℃で管理した場合、灯油温風暖房と比較するとCO2排出量は30%程度削減される。また、同様にランニングコストも10%程度削減される。

[キーワード]

地中熱利用ヒートポンプシステム、ハウス暖房、CO2排出量

[担当]

青森農林総研・砂丘研究部

[代表連絡先]

電話0173-45-3214

[区分]

東北農業・野菜花き(野菜)

[分類]

技術・参考

[背景・ねらい]

近年、地球温暖化防止のための自然エネルギー活用技術の開発が強く求められている。地中熱利用ヒートポンプシステム(以下、地中熱システムと略す)による暖房は、灯油温風暖房と比較して2〜3割の消費エネルギー削減効果があると試算されているものの、農業用ハウスにおける実績がないことから省エネ効果とCO2排出量削減効果について検証する必要がある。

そこで、冬期間のハウス暖房に地中熱システムを利用した場合の暖房能力、既存の灯油暖房とのエネルギー消費量及びCO2排出量削減効果について検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 深さ90 mの地中熱交換井戸を8 本備えた暖房能力46kw の地中熱利用ヒートポンプを冬期間のビニールハウス暖房に用いた場合、22 〜 37 ℃の温水をハウスへ送ることにより、外気温-10 〜 5 ℃のハウス内気温を10 〜 20 ℃に保つことができる(図1)。
  2. 本システムでハウス内気温を20 ℃に保った場合、灯油温風暖房と比較して原油換算エネルギー消費量は20 %増加するものの、CO2排出量では30 %削減され、ランニングコストでは10 %削減される。15 ℃に保った場合では、地中熱システムの原油換算エネルギー消費量は灯油温風暖房と同等であり、CO2排出量は43 %削減される(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 供試した地中熱システムの導入・設置コストは28,244 千円で耐用年数を17 年とした場合の減価償却費は1,661 千円/年である。コストの内訳は地中熱交換井戸掘削・配管12,494 千円、その他工事7,750 千円、ヒートポンプ3,243 千円、その他機械器具4,757千円で、本施設は環境省の補助事業を利用して設置した。
  2. ハウス内の気温はヒートポンプからハウスへ送る温水温度と外気温により決まるため、暖房する場合には図3を参考として温水設定温度を決定する。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
自然エネルギー活用による冬のハウス利用技術の確立
予算区分
県単
研究期間
2003 〜 2006 年度
研究担当者
渡邊智雄、葛西久四郎
発表論文等
渡邊、葛西(2006)東北農業研究、59:197-198