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飼料用トウモロコシの不耕起栽培における冬作ライ麦の最適刈取時期
[要約]
飼料用トウモロコシ(以下、トウモロコシと略記)の不耕起栽培に冬作ライ麦を導入した二毛作体系において、冬作ライ麦を出穂始期と出穂期に刈取りした場合、出穂期に刈取りした方が冬作ライ麦の収量が高く、後作トウモロコシの収量も高い。
[キーワード]
ライ麦、トウモロコシ不耕起栽培、TDN 収量
[担当]
岩手県農業研究センター畜産研究所・家畜飼養・飼料研究室
[代表連絡先]
電話019-688-7317
[区分]
東北農業・畜産
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
不耕起栽培はトウモロコシ栽培を省力化し、労力不足に起因する作付面積減少に歯止めをかけるのに有効な技術である。また、その省力効果を活用してライ麦等の冬作を導入した二毛作体系により更なる飼料確保が可能である。
一方、ライ麦の後作にトウモロコシを不耕起播種する場合、ライ麦をどの時期に収穫すれば総栄養収量が最大となるかは明らかにされていない。
そこで本県の様な寒冷条件下でのライ麦の収穫時期及びその後作となるトウモロコシの生育への影響について検討し、新たな知見を得たので紹介する。
[成果の内容・特徴]
- 冬作ライ麦を出穂始期と出穂期に刈取りした場合、乾物収量・推定TDN 収量とも出穂期に刈取りした方が高い(表1)。
- トウモロコシの初期生育及び乾物収量とも、冬作ライ麦を出穂期に刈取りした方が優れる(図1、2)。
- 冬作ライ麦とトウモロコシの総TDN 収量は冬作ライ麦を出穂期に刈取りした方が高いことから、冬作ライ麦の最適刈取時期は出穂期である(表2)。
- ライ麦出穂期刈取、不耕起トウモロコシ二毛作体系と耕起トウモロコシ単作体系を比較すると、二毛作体系は139,679 円/ha 経費負担が増えるが、ライ麦収量で2,474kg/TDN/ha、チモシー乾草(TDN 単価134.4 円/kg)購入費に換算すると332,505 円相当の増収となる(表1、3)。
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象
コントラクター等県内の大規模飼料用トウモロコシ栽培農家及びその指導者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等
県下全域
- その他
- 試験場所:畜産研究所試験圃場(標高250m、厚層多腐植質黒ボク土)
- ライ麦とトウモロコシの播種日と収穫日
- ライ麦供試品種、施肥量:春一番(播種量8kg)、N5.3-P7.0-K5.3 堆肥3t
- トウモロコシ供試品種、施肥量:「ニューデント100 日(LG3457)」、N12-P16-K12
- トウモロコシ不耕起播種機、設定密度:John Sheare NM9500/2、7,100 本/10a
- トウモロコシ薬剤処理:不耕起区、耕起区とも播種当日にジメテナミド・リニュロン乳剤処理、不耕起区のみ播種5日後にグリホサートカリウム塩処理
[具体的データ]
[その他]
- 研究課題名
- 不耕起栽培トウモロコシを導入した寒冷地向け飼料作物周年栽培作付体系の確立
- 予算区分
- 委託プロ(国産飼料)
- 研究期間
- 2010〜2011 年度
- 研究担当者
- 尾張利行、堀間久己、山形広輔