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東京電力福島第一原発事故により放出された放射性セシウムの水稲部位別濃度

[要約]

稲体の放射性セシウム濃度は、茎(稈+葉鞘)、葉身、籾(玄米+籾殻)の順で高く、部位別では、茎は上部ほど、葉身は下部ほど高い傾向を示す。また、稲株全体での放射性セシウム量の分布は、概ね籾が30 %、茎が42 %、葉が28 %である。

[キーワード]

水稲、放射性セシウム、部位別、籾、茎、葉身

[担当]

福島県農業総合センター・作物園芸部

[代表連絡先]

電話024-958-1723

[区分]

東北農業・作物(稲栽培)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

東京電力福島第一原発事故により多量に放出された放射性セシウムが、水稲の部位では濃度差があるのか、どこの部位に多く含有しているなど実態を把握することが放射能汚染対策上重要である。そのため、福島県内の土壌の放射性セシウム濃度が3,000Bq/kg を越えるほ場において、水稲の部位別の放射性セシウム濃度と含有量を調査し、水稲の放射性セシウムの吸収実態を明らかにすることをねらいとする。

[成果の内容・特徴]

  1. 部位別の放射性セシウム濃度は、茎>葉身>籾の順で高く、茎は上部ほど、葉は下部ほど高い傾向を示す(図1図2)。
  2. 部位別の放射性セシウム含有量は、茎>籾>葉身の順で多い。また、稲体全体の放射性セシウム量を100 とした場合は、籾が30.5 %、茎が41.5 %、葉身が28.0 %である(表1)。
  3. 稲全体に対する籾の放射性セシウム量30.5 %うち、玄米が21.9 %、籾殻が8.6 %で、玄米に多い(表1)。
  4. 稲全体に対する茎の放射性セシウム量41.5 %のうち、上部茎(第1節間+葉鞘)が19.5%、中部茎(第2節間+葉鞘)が14.4 %、下部茎(第3節間以下+葉鞘)が7.6 %で、上部ほど多い(表1)。
  5. 稲全体に対する葉身の放射性セシウム量28.0 %のうち、止葉は3.7 %、次葉は4.6 %、第3葉は4.8 %、第4葉以下は14.9 %で、下部ほど多い(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 土壌の放射性セシウム濃度が3,000 〜 4,200Bq/kg のほ場から10 月12 日に採取した「コシヒカリ」3点、「ひとめぼれ」1点の計4点をゲルマニウム半導体検出器で分析した結果である。なお、玄米の放射性セシウム濃度は92 〜 322Bq/kg である。
  2. 土壌や玄米の放射性セシウム濃度が高い地域における水稲の部位別放射性セシウム濃度の差異と稲体全体での放射性セシウムの分布状況を把握することができ、モニタリング調査等に活用できる。
  3. 土壌の放射性セシウム濃度が高い水田で生産された玄米でも放射性セシウム濃度が極めて低い事例があり、それらの稲体の部位別の放射性セシウム濃度や含有量を調査する必要がある。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
放射性物質の吸収量の把握
予算区分
県単
研究期間
2011 年
研究担当者
佐藤誠、藤村恵人、藤田智博、鈴木幸雄、佐久間祐樹、大和田正幸