研究所トップ≫研究成果情報≫平成23年度
玄米、白米、炊飯米の放射性セシウム濃度の解析
[要約]
玄米は、粒厚が厚く、千粒重が重いと放射性セシウム濃度が低くなる。また、精米の程度が高くなるにつれて、セシウム濃度は低下し、精米歩合が85%になるとほぼ一定なる。玄米の放射性セシウム濃度を100とすると、概ね白米は40%、炊飯米10%となる。
[キーワード]
水稲、放射性セシウム、玄米、白米、炊飯米
[担当]
福島県農業総合センター・作物園芸部
[代表連絡先]
電話024-958-1723
[区分]
東北農業・作物(稲栽培)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
玄米の粒厚や精米歩合と放射性セシウム濃度との関係がわかれば、ふるい目や精米歩合の調整による放射性セシウム濃度の低減に役立つ。また、玄米から白米や炊飯米になる過程での放射性セシウム濃度の変化を明らかにすることより、お米に及ぼす放射性セシウムの影響について、生産者、消費者の理解を深めることをねらいとする。
[成果の内容・特徴]
- 玄米の粒厚・千粒重別の放射性セシウム濃度は、粒厚が厚く、千粒重が重いほど低くなる(図1)。
- 精米歩合が低くなるに従って放射性セシウム濃度が低下する(図2)。また、精米歩合90 %までは放射性セシウム濃度の低下が大きく、特に、精米歩合95 %までの放射性セシウム濃度の低下が顕著である(図2)。このことから、放射性セシウムは玄米の糠層に多く存在し、特に糠層の外側に多いと推察される。
- 精米歩合90 %の白米の放射性セシウム濃度は、玄米の39.2%まで低下する。また、精米歩合90 %を過ぎた白米層では低下が少なく、精米歩合が85 %以下になるとほぼ平衡状態になる(図2)。
- 炊飯米の放射性セシウム濃度は、加水により低下することを含め玄米の10.8 %まで低下する(図3)。また、洗米等により放射性セシウム含量は白米の3分の2になる。
[成果の活用面・留意点]
- 精米歩合については、粒厚1.8mm 以上の「ひとめぼれ」、「コシヒカリ」の玄米4点(放射性セシウム濃度は68 〜 483Bq/kg)を分析した結果である。
- 炊飯米については、精米歩合90 %の白米150g を使用し、洗米はとぎ3回、すすぎ1回で、1回当たり150cc 計600cc で行い、重量比1.33(200cc)を加水し、1時間後に炊飯し、放射性セシウム濃度をゲルマニウム半導体検出器を用いて行った結果である。
- 屑米(小米)は、精玄米より放射性セシウム濃度が高くなると推察されるので、使用にあたっては注意する。
- 炊飯米の放射性セシウム濃度は、精米歩合及び洗米や炊飯方法、加水量により変化する。
- 玄米の放射性セシウム濃度が100Bq/kg の場合、精米歩合90 %の白米における洗米のとぎ水は、飲料水の放射性セシウム濃度の新基準10Bq/kg より低くなると推察される(図3)。
[具体的データ]



[その他]
- 研究課題名
- 放射性物質の吸収量の把握
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2011 年
- 研究担当者
- 佐藤誠、藤村恵人、藤田智博、鈴木幸雄、佐久間祐樹、大和田正幸