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水稲収穫、乾燥、調製作業時の周辺環境への空間放射線の影響

[要約]

水稲のコンバイン収穫や乾燥、籾すり作業時には粉塵が多く排出されるが、玄米の放射性セシウム濃度が12Bq/kg における作業で放射線量を測定した結果、周辺の空間の放射線量に有意な増加はなく、これらの作業では周辺環境におよぼす影響は少ない。

[キーワード]

水稲収穫作業、放射線量、集塵機

[担当]

福島農総セ・企画経営部・経営・農作業科

[代表連絡先]

電話024-958-1700

[区分]

東北農業・基盤技術(作業技術)

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

各種農作業における放射線による作業者や環境への影響が不明である。

ここでは、多くの粉塵が発生する水稲の収穫、乾燥、調製作業時における空間の放射線量等を測定し、周辺への影響を調査する。また、乾燥機や籾すり機に集塵機を設置し、効果を確認する。

[成果の内容・特徴]

  1. 玄米の放射性セシウム濃度が12Bq/kg におけるコンバイン収穫、籾すり機作業時におけるほ場周辺等での放射線量に有意な増加がみられず、周辺環境への影響は少ない。また、籾すり機に設置した集塵機の有、無どちらも放射線量に大きな変化はみられない(表1)。
  2. 乾燥機排気口付近の粉塵数は、集塵機無の場合、開始10 分後約1000cpm と増加し、その後800cpm 以上で経過したが、周辺の空間の放射線量に大きな変化は見られない。また、集塵機有の場合、最大の粉塵数は約400cpm であるが、集塵機無と同様に空間の放射線量に大きな変化は見られない(図1図2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 調査地点は水稲収穫や乾燥、調製作業を行っているほ場やほ場周辺、施設内・外であり、作業前と作業中の放射線量(地上高1m地点等)や粉塵数を測定する。
  2. 放射線量の測定機器はNaI シンチレーションカウンター(LUDLUM MODEL2241-2)、粉塵数を測定する粉塵計は光散乱式デジタル粉塵計(日本カノマックス製 MODEL3431)である。
  3. 集塵機を乾燥機に2機種(金子農機製 TM-420B、GM-280S)、籾すり機に1機種(金子農機製 BS-701L)設置している。
  4. 試験を行った地域は比較的放射線量が高い地域であり、水田土壌の放射性セシウム濃度は4,672Bq/kg、玄米は12Bq/kg 検出された水田等で測定をした結果である(表2)。

[具体的データ]

[その他]

研究課題名
農作業における放射線被曝低減技術の開発
予算区分
県単
研究期間
2011 年度
研究担当者
大野光、松葉隆幸