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畑作物への土壌の放射性セシウムの移行
[要約]
福島県農業総合センター内で栽培した畑作物において、子実・球茎への土壌の放射性セシウムの移行係数(乾物ベース)は0.01 以下で、茎葉より総じて小さい。部位別に見ると、葉への移行係数が他の部位に比べて大きい。
[キーワード]
畑作物、放射性セシウム
[担当]
福島農総セ・作物園芸部
[代表連絡先]
電話024-958-1723
[区分]
東北農業・作物(畑作物栽培)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
東京電力福島第一原発の事故により、福島県内外の広い範囲で放射性物質による土壌汚染が確認された。このため、同一ほ場で畑作物を栽培し、事故後2年目における土壌の放射性セシウムの吸収について比較検討を行う。
[成果の内容・特徴]
- 農業総合センター内の同一ほ場で栽培した畑作物について、茎葉への放射性セシウムの移行係数(乾物ベース)を比較すると、生育期にはラッカセイ、ソバ、アズキなどが相対的に高く、成熟期には秋ソバが最も高い。子実ではソバ、ダイズ、アズキなどが相対的に高いが、子実への移行係数(乾物ベース)は0.01 以下で、茎葉より総じて小さい(図1)。
- 部位別に見ると、葉への放射性セシウムの移行係数(乾物ベース)が他の部位に比べて高い(図2)。豆類などで、成熟期における茎葉への移行係数が生育期に比べて小さくなる(図1)のは、放射性セシウム濃度の高い葉が落ち、濃度の低い茎重が増加することが主因である。
- エゴマは成熟時において、子実に比べて葉や花穂の放射性セシウム濃度が非常に高く(図2)、これら夾雑物の混入によって、子実の放射性セシウム濃度が実際より高く検出される可能性があり、検査時には注意を要する。
[成果の活用面・留意点]
- 今回試験を行った土壌は灰色低地土(埴壌土)であり、土壌の放射性セシウム濃度は約2,000Bq/kg、交換性カリ含量は約25mg/100g である。
- この結果は限られた条件下で得られたものであり、移行係数は土壌条件や施肥条件によって大きく変動する可能性がある。
[具体的データ]



(福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 放射性物質の吸収量の解明
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2012 年度
- 研究担当者
- 平山孝、慶徳庄司、根本和俊、竹内恵、遠藤あかり、長澤梓(福島農総セ)