研究所トップ≫研究成果情報≫平成24年度
ダイズモザイク病と倒伏に強い中生のだいず新品種候補系統「東北164号」
[要約]
だいず「東北164号」は東北地域における成熟期が中生でダイズモザイクウイルスと倒伏に強い系統であり、子実は白目大粒で豆腐などの加工に適する。
[キーワード]
ダイズ、中生、ダイズモザイクウイルス抵抗性、耐倒伏性、加工適性
[担当]
東北農業研究センター・水田作研究領域
[代表連絡先]
電話0187-75-1084
[区分]
東北農業・畑作物(品種)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
東北地域中南部には「タンレイ」や「タチナガハ」などの中生や晩生種が主力品種として作付けられている大豆産地がある。しかし、「タンレイ」はダイズモザイクウイルス抵抗性が不充分であることから安定生産のために抵抗性の強化が望まれている。また、「タチナガハ」は豆腐の加工適性が劣ることから実需者が利用しやすい加工適性の付与が求められている。そこで、東北地域に適した中生で耐病性と機械化適性を有し、豆腐などの加工適性の高い品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
- 「東北164号」は、1998年、早生の「フクシロメ」を母、大粒でダイズモザイクウイルス抵抗性強の「刈系623号」を父とした人工交配から育成された系統である。
- 東北地域における成熟期は育成地の「スズカリ」および採用予定の宮城県の「タンレイ」とほぼ同じ“中生”で、収量も同等である(表1)。
- 倒伏・青立程度、最下着莢位置、裂莢性から見た機械化適性は、「スズカリ」および「タンレイ」と同等〜やや優れる(表1、写真1)。
- ダイズモザイクウイルスに対する抵抗性は「スズカリ」および「タンレイ」より強い(表1)。
- 子実は白目で「スズカリ」および「タンレイ」より大きい“大粒の小”で、蛋白質含量は「タチナガハ」より高く、豆腐などの加工に適する(表1)。
[成果の活用面・留意点]
- 栽培適地は東北地域中南部である。
- 宮城県では、当面、主力品種の「タンレイ」の一部に置き換える奨励品種として採用する予定である。
- ダイズシストセンチュウには“やや弱い”ので、センチュウ被害の発生履歴がある圃場での栽培は避ける。
[具体的データ]


(菊池彰夫、島村聡、加藤信)
[その他]
- 研究課題名
- 気候区分に対応した、安定多収・良品質大豆品種の育成と品質制御技術の開発
- 予算区分
- 交付金
- 研究期間
- 1998〜2012年度
- 研究担当者
- 菊池彰夫、島村聡、加藤信、河野雄飛、湯本節三、高田吉丈、島田信二、境哲文、島田尚典、高橋浩司、足立大山、田渕公清