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耐倒伏性に優れた大粒大豆「東北164号」の宮城県における採用

[要約]

「東北164号」は「タンレイ」と同じ中生で収量が同程度であるが、百粒重、品質、耐倒伏性が優れる。「タンレイ」よりダイズモザイク病に強く、現地では紫斑病に強い傾向が認められる。加工適性は「タンレイ」と同程度である。よって、宮城県の奨励品種に採用する。

[キーワード]

だいず、大粒、東北164 号、奨励品種

[担当]

宮城県古川農業試験場・水田利用部

[代表連絡先]

電話0229-26-5106

[区分]

東北農業・作物(畑作物品種)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

大豆は宮城県において主要な水田転作作物であり、作付面積は平成24 年で9,000ha ほどである。現在、主力品種「タンレイ」では紫斑病や着色粒の発生による品質の変動が大きく、問題視されている。そこで、耐倒伏性に優れ、「タンレイ」より紫斑病に強く、加工に適した品種を選定し、県産大豆の品質の安定化を図る。

[成果の内容・特徴]

  1. 「東北164 号」の開花期、成熟期は「タンレイ」とほぼ同じで宮城県では”中生”である(表1)。
  2. 主茎長は「タンレイ」よりやや短く、耐倒伏性はやや強い。蔓化程度は同程度に低い。(表1)。
  3. 収量は「タンレイ」と同等〜やや優れる(表1)。
  4. 子実は「タンレイ」より粒大が大きく、外観品質がやや優れる(表1)。
  5. ダイズモザイクウイルス抵抗性は”強”(育成地データ)で、紫斑病抵抗性は現地では「タンレイ」よりやや強い傾向が認められる。(表1)。
  6. 豆腐加工適性、味噌加工適性は「タンレイ」と同程度である(表4)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 「タンレイ」の一部に替わる奨励品種として宮城県内大豆作付地帯に適応し、普及面積は1,000ha 程度が見込まれる。
  2. ダイズシストセンチュウ抵抗性は“やや弱”であるため、センチュウ汚染ほ場への作付は避ける。
  3. 「タンレイ」と同様に晩播密植栽培に適する。

[具体的データ]

(宮城県古川農業試験場)

[その他]

研究課題名
麦類・大豆の加工適性を重視した品種選定と栽培法の確立
予算区分
県単
研究期間
2008 〜 2012 年
研究担当者
三上綾子、滝澤浩幸
発表論文等
2012 年度宮城県奨励品種採用予定