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ダイズモザイク病に強く良質な中生の早のだいず新品種候補系統「東北166号」
[要約]
だいず「東北166号」は東北地域における成熟期が中生の早でダイズモザイクウイルスと倒伏に強い系統であり、子実は白目大粒で豆腐などの加工に適する。
[キーワード]
ダイズ、中生の早、ダイズモザイクウイルス抵抗性、耐倒伏性、加工適性
[担当]
東北農業研究センター・水田作研究領域
[代表連絡先]
電話0187-75-1084
[区分]
東北農業・畑作物(品種)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
東北地域には「ナンブシロメ」や「スズカリ」などの中生種が主力品種として作付けられている大豆産地がある。しかし、「ナンブシロメ」は収量が低くて不安定であることから高品質で安定生産が可能な品種による収量水準の底上げが望まれている。また、「スズカリ」は豆腐などの加工適性が劣ることから実需者が利用しやすい加工適性の付与が求められている。そこで、東北地域に適した中生の早で耐病性と機械化適性を有し、豆腐などの加工適性の高い品種を育成する。
[成果の内容・特徴]
- 「東北166号」は、2001年、極大粒の「東北143号」を母、高蛋白質含量でダイズモザイクウイルス抵抗性強の「刈系675号」を父とした人工交配から育成された系統である。
- 東北地域における成熟期は“中生の早”で、収量は育成地の「リュウホウ」および採用予定の岩手県の「スズカリ」と同等〜やや多く、同県の「ナンブシロメ」よりかなり多い(表1)。
- 倒伏・青立程度、最下着莢位置、裂莢性から見た機械化適性は、「リュウホウ」および「スズカリ」と同等である(表1)。
- ダイズモザイクウイルスに対する抵抗性は「スズカリ」および「ナンブシロメ」より強い(表1)。
- 子実は白目で「スズカリ」および「ナンブシロメ」より大きい“大粒の小”で、蛋白質含量は「スズカリ」より高く「ナンブシロメ」並で、豆腐などの加工に適する(表1、写真1)。
[成果の活用面・留意点]
- 栽培適地は東北地域である。
- 岩手県では、当面、主力品種の「ナンブシロメ」の一部に置き換える奨励品種として採用する予定である。
- ダイズシストセンチュウには弱いので、センチュウ被害の発生履歴がある圃場での栽培は避ける。
- 茎葉処理型除草剤(ベンタゾン)に対する感受性が高く、薬害が発生しやすい。
[具体的データ]


(菊池彰夫、島村聡、加藤信)
[その他]
- 研究課題名
- 気候区分に対応した、安定多収・良品質大豆品種の育成と品質制御技術の開発
- 予算区分
- 交付金
- 研究期間
- 2001〜2012年度
- 研究担当者
- 菊池彰夫、島村聡、加藤信、河野雄飛、湯本節三、高田吉丈、島田信二、境哲文