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レッドカーランツの収穫時間が短縮できる省力的な樹形

[要約]

レッドカーランツの樹形を3 年生と2 年生の主軸枝のみで構成し、主軸枝の本数を6 本、または3 本に制限し、収穫時に3 年生の主軸枝を切り離して収穫することで、慣行栽培と比べ収穫時間が5 割以上削減でき、100kg/a 以上の収量が得られる。

[キーワード]

レッドカーランツ、主軸枝、収穫時間

[担当]

宮城県農業・園芸総合研究所・園芸栽培部・果樹チーム

[代表連絡先]

電話022-383-8132

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

近年、需要が高まっているレッドカーランツについて、県内における栽培技術を確立する。粗放的な栽培環境でも生育するが、成木になると高さ2m以上の藪状の樹形となり、過大な収穫労力が問題となっている。そこで、収穫時間が5 割削減でき100kg/a 以上の収量が得られる樹形を開発する。

[成果の内容・特徴]

  1. 樹形を3 年生と2 年生の主軸枝のみで構成し、主軸枝の本数を6 本(ただし3 年生の主軸枝が3 本以上あること)または、3 本(2 年生の主軸枝が1 本、3 年生の主軸枝が2本で構成)に制限し、収穫時に3 年生の主軸枝を切り離して収穫することで慣行樹形と比べ、1 樹当たりの収穫時間が5 割以上削減できる。収量は慣行区より劣るが100kg/a以上得られる(図1表1)。
  2. 果実1kg の収穫時間については、主軸枝数を制限することで、慣行樹形の摘み取り収穫に比べて5 割程度短縮できる。また、収穫は着色後14 日間程度で完了させる必要があるが、1a 当たりの収穫期間を推計すると、主軸枝数を制限することで慣行樹形と比べて収穫期間が短くなり、経営規模を拡大できる可能性がある(表1)。
  3. 枝齢 3 年までの枝の発芽率及び花芽着生割合に差はないが、枝齢が4 年以上になると発芽率及び花芽の着生が劣る。また、果実の平均1 房重及び平均1 房着粒数は枝齢2 年が枝齢3 年以上に比べて優れる(表2
  4. 整枝・剪定方法の違いが果実の糖度及び酸度に及ぼす影響はみられない(表3)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 2010 年の耕種概要は下記のとおり。
    品種:「レッドダッチ」6 年生
    栽培環境:雨よけハウス(通年被覆)
    栽植間隔:樹間1m×列間1.5m(66.6 本/a 植え)
  2. 2012 年の耕種概要は下記のとおり。
    品種:「不明」(株式会社イシドウより購入)6 年生
    栽培環境:雨よけハウス(通年被覆)
    栽植間隔:樹間1m×列間1.5m(66.6 本/a 植え)
    施肥:4 月3 日、CDU 果樹化成(15-6-12)1樹あたり100g を土壌表面に施用。
    かん水:タイマーによる自動かん水。1 回1 リットル×1〜4回/日。
    収穫:樹全体の着色が9 割程度となった6 月27 日に開始し7 月9 日に終了した。

[具体的データ]

(宮城県農業・園芸総合研究所)

[その他]

研究課題名
レッドカーランツ及びカシスの栽培技術の確立
予算区分
県単、食料生産基地再生のための先端技術展開事業
研究期間
2009〜2010年度、2012〜2014年度
研究担当者
柴田昌人、池田裕章、田口久美子、菊地秀喜、高嶋名世瑠(気仙沼地方振興事務所)