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白色反射資材と防虫ネットによるラズベリー害虫の物理的防除

[要約]

ラズベリーの雨除け栽培では、白色反射資材と防虫ネットを設置することで、アザミウマ類とショウジョウバエ類の果実への寄生を防ぐことができる。

[キーワード]

ラズベリー、アザミウマ類、ショウジョウバエ類、物理的防除

[担当]

秋田果樹試・特産果樹部

[代表連絡先]

電話0182-25-4224

[区分]

東北農業・果樹

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

ラズベリーの害虫として、チャノキイロアザミウマやショウジョウバエ類、ハダニ類などが古くから認められているが、経済栽培の歴史が浅いため登録農薬は少ない。そこで、物理的防除を中心とした防除体系を確立するため、カンキツ(土屋ら,1995)などでアザミウマ類の防除に用いられている白色反射資材と、ブルーベリー(川瀬ら,2008)でオウトウショウジョウバエの防除効果が認められている防虫ネットを組み合わせた物理的防除の効果を検討する。

[成果の内容・特徴]

  1. 本技術はラズベリーの雨除け栽培を前提とし、ハウス内の全面および外周(1.5 m幅)にアザミウマ類に忌避効果を持つ白色反射資材を敷設し、また、ハウスの骨格を利用し外周を0.8mm 目の防虫ネットで覆うことでショウジョウバエ類成虫の侵入を物理的に防ぐものである(図1)。
  2. 白色反射資材の敷設により、夏果(7月上旬〜8月上旬収穫)では収穫期間を通してアザミウマ類の寄生が見られなくなる(表1)。ただし、秋果(9月上旬〜 11 月中旬収穫)に対してはその効果は劣る(表2)。
  3. 防虫ネット(0.8mm 目)の設置により、果実へのショウジョウバエ類幼虫の寄生を防ぐことができる(表3、秋果についてはデータ略)。なお、アザミウマ類に対しては防虫ネットの効果は認められない(データ略)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 本研究で用いた白色反射資材は、商品名タイベック400WP( 丸和バイオケミカル(株))、防虫ネットは、商品名サンサンネットSL-2700(日本ワイドクロス(株))である。
  2. 両資材とも設置期間は5月下旬(夏果の開花期)から11 月中旬(秋果の収穫終了)までとする。
  3. 秋果(9月上旬〜 11 月中旬収穫)に対して果実へのアザミウマ類の寄生が見られた場合は、登録のある殺虫剤(スピノエース顆粒水和剤5000 倍)を散布する。また、雨除けハウス内は露地と比較してハダニ類が繁殖しやすいため、発生時は気門封鎖型殺虫剤(アカリタッチ乳剤1000 〜 2000 倍または粘着くん水和剤500 倍)を散布する。
  4. 防虫ネットの設置により、秋果では不整形果(不受精による小核果数の減少に伴う果形不良や小玉化)が発生することがある。そのため、開花期(8〜9月)に花器を指や梵天でなでる方法や、ミツバチの放飼によって自家結実を促す。
  5. 本技術に必要な資材の初期投資は、39,240 円/a と試算される。内訳は、白色反射資材1.5m× 150m、防虫ネット1.8m × 50m、押さえピン× 120 個、パッカー× 120 個である。これらは、5 年程度使用できる。

[具体的データ]

(照井真)

[その他]

研究課題名
国産ラズベリーの市場創出および定着のための生産・流通技術の開発
予算区分
実用技術
研究期間
2009 〜 2011 年度
研究担当者
照井真、上田仁悦