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各種資材による土壌中放射性セシウムの溶出抑制能(吸着能)簡易評価法
[要約]
放射性セシウムに汚染された土壌に資材を10%添加し、1M酢酸アンモニウム溶液(pH7.0)を固液比1:10で混合し、24h、120rpmで振とうすることにより各種資材の放射性セシウム溶出抑制能(吸着能)の簡易評価をすることができる。
[キーワード]
放射性セシウム、吸着資材、溶出抑制能
[担当]
福島県農業総合センター・生産環境部
[代表連絡先]
電話024-958-1718
[区分]
東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
ゼオライトやバーミキュライトなどは放射性セシウムの吸着能が高く、土壌からの放射性セシウムの溶出を抑制することが期待されている。しかしながら、これらを土壌に施用した場合の放射性セシウムの溶出抑制能を簡易的に評価する方法は未だに確立されていない。このため、各種資材の土壌中放射性セシウムの溶出抑制能簡易評価法を開発する。
[成果の内容・特徴]
- ゼオライトや南アフリカ産バーミキュライトを10%添加した場合、抽出液中の放射性セシウムの溶出抑制効果がみられたが、国内産(A町産)バーミキュライトは効果がみられなかった(図1)。これらの結果から多様な資材の溶出抑制能を同一条件で評価するためには、資材の10%添加が適する。
- 土壌中放射性セシウムの溶出抑制能評価法は、以下に示すとおり。
- 各種資材を混合した土壌と1M酢酸アンモニウム溶液(pH7.0)を固液比1:10で混合し、24h、120rpmで振とうする。
- No.6の濾紙および0.45μmのメンブランフィルターで濾過する。
- U8容器に濾液を詰め、ゲルマニウム半導体検出器で測定する(測定時間は2000s〜36000s)。
- 福島県内で施用された各種資材を用い、本評価法を実施したところ、無処理区と比較した溶出割合に54〜100%の差がみられる(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 本評価法は、植物による放射性セシウムの吸収を評価する方法ではなく、土壌から溶出する交換性放射性セシウムに対する資材の吸着能を評価する方法である。
- 土壌および資材は2.0mm以下の画分で十分に混合したものを用いた。
- 供試資材は福島県内の水田に施用された資材の一部である。
- 本評価法は福島県において、2012年3月に民間技術提案型放射性物質除去・低減技術実証事業で用いた方法である。
[具体的データ]


( 福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 放射性物質吸収抑制技術の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2011 年〜2012 年
- 研究担当者
- 齋藤隆、佐藤睦人、吉岡邦雄(福島農総セ)、牧野知之(農環研)