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各種土壌における交換性カリとキャベツの放射性セシウムの移行係数
[要約]
キャベツの放射性セシウムの移行係数は、土壌中交換性カリ含量が概ね40mg/乾土100g以下の場合、土壌タイプの違いよりも、土壌中の交換性カリ含量の影響が大きい。
[キーワード]
放射性セシウム、交換性カリ、キャベツ
[担当]
福島県農業総合センター・生産環境部・環境・作物栄養科
[代表連絡先]
電話024-958-1700
[区分]
東北農業・生産環境(土壌肥料)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
東京電力福島第1原子力発電所の事故に伴う放射性物質の拡散により福島県内の農耕地が汚染され、食の安全・安心を揺るがす問題になっているが、福島県内に分布する畑土壌における野菜の放射性セシウム吸収についての知見は少ない。そこで、本研究では4種類の土壌(褐色森林土、黒ボク土、灰色低地土、褐色低地土)を充填したライシメーターを使用してキャベツの栽培試験を実施し、土壌と放射性セシウムの移行係数の関係を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- キャベツの放射性セシウムの吸収は土壌タイプ間で差が見られる(表1)。
- しかし、同一土壌タイプ内で土壌中の交換性カリ含量によりキャベツの移行係数が異なることが複数の土壌で認められることから、交換性カリ含量が概ね40mg/乾土100g以下の場合、移行係数は土壌タイプや粘土含量・粘土鉱物組成より交換性カリの影響が大きい(図1、表2)。
- キャベツの放射性セシウムの移行係数は、土壌中の交換性カリ含量が低いほど高まる(図1)。
- 交換性カリ含量が概ね40mg/乾土100g以上の黒ボク土の場合、移行係数と交換性カリの関係は認められない(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果は畑地用ライシメーター(縦2.0×横2.0×高さ1.0m、4m3)での結果である。
- キャベツ(品種‘初秋’)の定植は5月23日、収穫は7月19日に行い、施肥量は福島県施肥基準に準じて栽培したものである。
[具体的データ]



(福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 土壌の違いによる移行係数の推定
- 予算区分
- 科学技術戦略推進費(国庫)
- 研究期間
- 2011 年
- 研究担当者
- 齋藤正明