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ライ麦と飼料用トウモロコシ二毛作におけるトウモロコシ播種期および窒素施肥量
[要約]
飼料用トウモロコシ不耕起栽培・ライ麦二毛作体系において、出穂期にライ麦刈取り後、10日以内にトウモロコシを播種することで良好なトウモロコシ栄養収量を確保できる。また、窒素15.6kgN/10a施肥することで20%程度のトウモロコシ収量増加傾向がある。
[キーワード]
ライ麦、トウモロコシ不耕起栽培、TDN収量
[担当]
岩手県農業研究センター畜産研究所・家畜飼養・飼料研究室
[代表連絡先]
電話019-688-7317
[区分]
東北農業・畜産
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
飼料用トウモロコシ不耕起栽培・ライ麦二毛作体系において、ライ麦の後作にトウモロコシを不耕起播種する場合、トウモロコシをどの時期に播種し、窒素をどれくらい施肥すれば良好な栄養収量が確保できるかは明らかにされていない。
そこで本県の寒冷条件下で、ライ麦刈取り後、良好な栄養収量を確保できるトウモロコシの播種時期を明らかにするとともに、トウモロコシの生育への窒素施肥量の影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- ライ麦を出穂期に刈取り後5日目と10日目にトウモロコシを不耕起播種した場合、乾物収量及びTDN収量ともに差がなく、10日以内にトウモロコシを播種することで、良好な栄養収量を確保できる(表1)。
- 5段階の窒素投入処理を設け、窒素投入量を検討した結果、15.6kgN/10a以上で、標準施肥量(12.0kgN/10a)より20%程度のトウモロコシ乾物収量増加の傾向がある(図1)。
- 上記結果より、経費を比較すると、最も生産費を低減できるのは窒素15.6kgN/10a施肥で、標準施肥量より肥料費が840円/10a増加するが、トウモロコシTDN収量266kg/10aの増加により、TDN生産費を5.3円/kg低減できる(表2)。
- 土壌処理剤ジメテナミド・リニュロン乳剤処理後、茎葉処理剤グリホサートカリウム塩液剤を播種当日から5日後までに全面散布することで、ライ麦再生残草は制御され、良好なトウモロコシ乾物収量を確保できる(表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象:コントラクター等の大規模飼料用トウモロコシ栽培農家及びその指導者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:県下全域
- その他:
- 試験場所:畜産研究所試験圃場(標高250m、厚層多腐食質黒ボク土)
- ライ麦とトウモロコシの播種日と収穫日

- ライ麦供試品種、施肥量:「春一番」(播種量8kg)、N5.3-P7.0-K5.3 堆肥3t
- トウモロコシ供試品種、施肥量:「ニューデント100日(LG3457)」、N12-P16-K12
- トウモロコシ不耕起播種機、設定密度:John Sheare NM9500/2、7,100本/10a
- トウモロコシ薬剤処理:無処理区を除き播種当日にジメテナミド・リニュロン乳剤処理、播種5日後に茎葉処理剤グリホサートカリウム塩処理、茎葉処理剤の比較としてアトラジン水和剤処理、ベンタゾン液剤処理
[具体的データ]





( 伊藤孝浩)
[その他]
- 研究課題名
- 不耕起栽培トウモロコシを導入した寒冷地向け飼料作物周年栽培作付体系の確立
- 予算区分
- 委託プロ(国産飼料)
- 研究期間
- 2010〜2012 年度
- 研究担当者
- 伊藤孝浩、山形広輔、佐藤まり子