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岩手県内の黒毛和種および日本短角種における枝肉重量QTL(CW-1)の効果
[要約]
ウシ第14番染色体上に報告されている枝肉重量QTL(CW-1)の候補変異は、岩手県の黒毛和種集団の枝肉重量およびロース芯面積と有意な関連があり、改良マーカーとして利用可能である。日本短角種では遺伝子型頻度が極端であるため活用できない。
[キーワード]
黒毛和種、日本短角種、遺伝子多型、QTL、枝肉重量
[担当]
岩手県農業研究センター畜産研究所
[代表連絡先]
電話019-688-4328
[区分]
東北農業・畜産
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
全国的に行われている黒毛和種のQTL(Quantitative Trait Loci;量的形質遺伝子座)解析によって、いくつかの有力な候補遺伝子が報告されている。第14番染色体上に報告されている枝肉重量のQTL(CW-1)に関連する塩基多型について、岩手県の黒毛和種および日本短角種集団の多型頻度と効果を明らかにし、改良マーカーとしての利用可能性を検討する。
[成果の内容・特徴]
- CW-1は、岩手県内の黒毛和種、日本短角種集団ではプラス効果であるQ型の頻度が高く、QQ型の頻度は黒毛和種では0.719、日本短角種では0.996である(表1)。
- 黒毛和種の枝肉重量およびロース芯面積で、QQ型はQq型よりも表型値が有意に大きいことからCW-1の遺伝子型は枝肉重量、ロース芯面積の改良マーカーとして利用可能である。さらに、BMSナンバーでも効果が認められる(表2、表3)。
[成果の活用面・留意点]
- 黒毛和種種雄牛について、CW-1の遺伝子多型を指標の1つとして選定することにより、枝肉重量に関する遺伝的能力が高い牛を正確に選抜できる。
- 枝肉重量等の量的形質は多くの遺伝子が関与する形質であるため、CW-1単独ではなく、他のQTL候補遺伝子型や育種価を考慮することが必要である。
- 日本短角種のBMSナンバーで有意差が認められたが、遺伝子型頻度が極端に偏っていること、日本短角種のBMSナンバーのバラツキが少ないことから改良マーカーとして利用できない。
[具体的データ]



(佐藤洋一)
[その他]
- 研究課題名
- 肉用牛における経済形質とDNAマーカーとの連鎖解析
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2012年度
- 研究担当者
- 佐藤洋一、熊谷光洋
- 発表論文等
- 佐藤洋一ら (2012)東北畜産学会報、62(2):18