研究所トップ研究成果情報平成24年度

表土を安定的にスライスする土壌切削装置

[要約]

草の根と表土を同時に安定してスライスする機械。機械はフレームに切刃、ゲージ輪、 ウェイトを取り付けた簡易な構造である。

[キーワード]

表土、スライス、切削、ルートマット

[担当]

福島県農業総合センター・企画経営部・経営・農作業科・畜産研究所沼尻分場、井関農機株式会社、株式会社ササキコーポレーション

[代表連絡先]

電話024-958-1700

[区分]

東北農業・農業生産基盤(作業技術)

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

農地に降下した放射性物質の大部分は、未耕うんほ場では土壌表層近くに存在する。平成23 年度の試験で草の根と表土を同時に剥ぎ取れば、土壌中の放射性セシウム濃度を大幅に下げられることが分かった。そこで、効率的に除染するため、草の根と表土を同時にスライスする土壌切削装置を開発する。装置は大きな機械が入れない樹園地などで使えるよう、小型軽量で簡易な構造とする。

[成果の内容・特徴]

  1. 開発した機械は、20PS 程度の小型トラクタに装着でき、フレームに切刃、ゲージ輪、ウェイトを取り付けた簡易な構造である。機械の作業幅は96cm、重さは125kg で、機械はトラクタの3点リンクヒッチに取り付ける(写真1)。
  2. 表土を厚さ5 cm 程度で安定してスライスできる(表1写真1)。厚さはゲージ輪の高さで調節する。状況に応じてウェイトの重さを調節する。
  3. スライス作業後は、ルートマット付きの表土が土壌から切り離されているので、表土の剥ぎ取り・集土作業を行いやすい。ほ場の状況に応じて、表土の剥ぎ取り・集土の別に機械を選定する。
  4. スライス作業は秒速0.6 〜 0.8 mと高速で行え、ほ場作業量は時間当たり9〜 11 aである(表2)。
  5. ルートマットがしっかりと形成されているところで行う。土が著しく乾燥している場合は、ルートマットが崩れ効果が下がるためスライス作業は行わない(表1)。
  6. ほ場の凹凸部ではスライス作業の精度が低くなるため、作業速度を遅くする(表2)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 普及対象:農業者、除染作業者
  2. 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等:除染地域、草生地
  3. その他
    本成果は、井関農機(株)、(株)ササキコーポレーションと共同で開発し、特許を平成24年9 月に共同出願した。機械は、井関農機(株)から市販されている。

[具体的データ]

(福島県)

[その他]

研究課題名
土壌切削装置の開発
予算区分
県費
研究期間
2012 年
研究担当者
青田聡(福島農総セ)、大野光(福島農総セ)、松葉隆幸(福島県農村振興課)、鈴木庄一(福島農総セ畜研沼尻)、高橋誠(福島農総セ)、小田切元(井関農機)、伊藤直樹(井関農機)、小野里泰仁(井関農機)、石丸雅邦(井関農機)、佐久間大輔(井関農機)、冨田利章(ササキコーポレーション)
発表論文等
特願2012-198178