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ディスク式畑用中耕除草機を改良した麦・大豆用畦立て播種機

[要約]

ディスク式畑用中耕除草機の後部ディスク等を外し、施肥播種機を加工取付することにより、麦・大豆の畦立て施肥同時播種ができる。播種作業時に動力耕うんを伴わないため作業速度が速く、機体もコンパクトであるため小区画ほ場での機動性に優れる。

[キーワード]

ディスク式畑用中耕除草機、畦立て施肥同時播種、麦・大豆、機動性

[担当]

岩手県農業研究センター・プロジェクト推進室

[代表連絡先]

電話0197-68-4412

[区分]

東北農業・農業生産基盤(作業技術)、畑作物

[分類]

研究成果情報

[背景・ねらい]

ディスク式畑用中耕除草機は、高能率な大豆の管理作業機として急速に全国に普及している。このディスク式除草機は、軽量・コンパクトで、湿潤土壌でも土を練りにくく高速作業が可能である。そこで、ディスク式除草機を改良して畦立て播種に利用できるようにすることで、トラクタや作業機の汎用利用、播種作業の高速化および中山間地域の小区画ほ場での機動性を確保する。

[成果の内容・特徴]

  1. 3連のディスク式畑用中耕除草機の後部ディスクと前部両端のディスクを外し、播種機装着用パーツ(自作加工)、播種ユニット(既存機)、うねならしバー(自作加工)を装着することで、畦立て播種ができる。また、必要に応じて作業機とトラクタの距離を短縮するために取付ヒッチ用部品(自作加工)を装着する(図1)。
  2. 麦では、代かきハローによる密条用小畦立て播種栽培の様式(畦間60cm、1畦2条播き)で、4条、大豆では代かきハローによる小畦立播種栽培の様式(畦間70cm、1畦1条播き)で2条の施肥同時播種ができる(図1)。
  3. 代かきハロ−による小畦立て播種栽培と比較すると、麦、大豆ともに、畦立て性能、収量で同程度である(図2図3)。
  4. 機体がコンパクトで軽量なので、小区画ほ場での機動性も高い。作業速度は動力耕うんを伴わないため3〜5km/hと速く、作業能率は0.3〜0.4(時間/10a)である(表1)。

[成果の活用面・留意点]

  1. 作業機に砕土機能はないので、砕土率70%以上を目標に、小畦立て播種栽培と同様に、事前に十分な砕土整地を実施することが前提である。
  2. ディスク式除草機の特長である土壌がやや湿潤な条件下でも土を練りにくい良好な作業性は、播種機を装着しても維持される。
  3. 播種作業が高速になると、駆動接地輪の回転が不安定になり、播種量が設定量より不足する場合があるため、強化された駆動接地輪や高速作業に対応した播種ユニットを使用する。
  4. 改良には部品の加工取付が必要であり、部品の図面等については詳細をマニュアル等で岩手農研のHP(http://www.pref.iwate.jp/~hp2088/)に別途提示する予定である。材料費は数千円と見込まれる。
  5. 麦の播種を畦間60cmで実施する場合は、車輪幅外寸が120cm以内のトラクタを選択する必要がある。

[具体的データ]

(岩手県農業研究センター)

[その他]

研究課題名
水稲乾田直播と大豆浅耕小畦立て栽培技術による輪作体系の確立 ほか
予算区分
国庫委託(水田底力プロ4系)、県単
研究期間
2010〜2011(国庫)、2009〜2012(県単)
研究担当者
高橋昭喜、寺田道一、藤田智美、扇良明、渡邊麻由子、及川一也