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キュウリの漬物加工と放射性セシウム濃度
[要約]
漬け床の放射性セシウムはキュウリに移行し、漬物への放射性セシウムの移行率
は漬け時間に応じて高まる。
[キーワード]
放射性セシウム、米ぬか、漬物、キュウリ
[担当]
福島農総セ・流通加工科
[代表連絡先]
電話024-958-1719
[区分]
東北農業・農業生産基盤(流通加工)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
米ぬかを使用したぬか漬けは広く加工が行われているが、米ぬかの放射性セシウム濃度は玄米の8倍とされており、漬物加工による漬け床からの放射性セシウムの移行が問題となる。このためキュウリをぬか漬けにした場合の放射性セシウムの移行程度を明らかにする。あわせて漬け床中のカリウムによる放射性セシウムの移行低減効果を検討する。
[成果の内容・特徴]
- 漬け床の放射性セシウム濃度は、副材料の添加により原料の米ぬかよりも低下する。また漬物加工により材料の水分が滲出し、漬け床の放射性セシウム濃度は低下する。一方、水分補正のために米ぬかを追加することで、漬け床の放射性セシウム濃度は高まる(表1)。
- 漬け床の放射性セシウムはキュウリに移行する。このときの漬物への放射性セシウムの移行率は漬け時間に応じて高まる。すなわちキュウリぬか漬けの漬け床および原料とした米ぬかに対する放射性セシウム濃度比は、漬け時間16時間でそれぞれ0.50 および0.21、漬け時間27時間ではそれぞれ0.70および0.29となる(図1)。
- 漬け床に食塩の代わりにカリウムしお(塩化ナトリウムの半分量を塩化カリウムに置き換えたもの)を使用した場合でも放射性セシウムのキュウリぬか漬けへの濃度比は食塩と差が認められない(図2)。
- キュウリ漬けにおける放射性セシウムの濃度比は、みそ漬けとぬか漬けの間で差は認められない(図2)。
[成果の活用面・留意点]
- 米ぬかの放射性セシウム濃度からキュウリぬか漬けの放射性セシウム濃度が推定され、安全性が確認できる。
- 漬け床の放射性セシウム濃度は、原料となる米ぬかに加える食塩及び水の量により変化する。
- 漬物加工に使用したキュウリの放射性セシウム濃度は、検出限界(8〜10Bq/kg)以下である。
[具体的データ]



(福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 農産物における放射性物質の除去技術の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2012年度
- 研究担当者
- 丹治克男、関澤春仁、山下慎司