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湛水土中直播における「つぶみのり」「つぶゆたか」の目標収量別の播種期間設定
[要約]
非主食用水稲品種「つぶみのり」、「つぶゆたか」の湛水土中直播栽培では、播種後の日平均気温から出穂期が予測できる。この出穂予測と登熟積算気温をもとに、播種早限、播種晩限を算出し、目標収量別の播種期間が設定できる。
[キーワード]
湛水土中直播、目標収量、出穂期予測、播種期間
[担当]
岩手県農業研究センター・プロジェクト推進室
[代表連絡先]
電話0197-68-4412
[区分]
東北農業・稲(稲栽培)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
飼料用米の作付け拡大に伴い、コスト低減の一方策として、直播栽培の取り組みが急増している。直播栽培による飼料用米の収量確保のためには、地域の気象条件に適合した品種や作期の選択が重要になる。
そこで、非主食用品種「つぶみのり」、「つぶゆたか」について、多収を目指した湛水土中直播栽培の播種期間を生育予測技術から推定し、各地域における品種選択や作期設定の目安を策定する。
[成果の内容・特徴]
- 「つぶみのり」、「つぶゆたか」の湛水土中直播栽培では、播種後の日平均気温を用いることで、それぞれ出穂期を±3日程度の誤差で予測できる(表1、図1)。
- 「つぶみのり」、「つぶゆたか」の湛水土中直播栽培での栽培事例から、目標収量別の登熟積算気温を設定し、「登熟停止日」(日平均気温が15℃を下回る初日(羽生ら1966))までにこの登熟積算気温を確保できる日を出穂晩限として、出穂予測式から「播種晩限」を推定する。「播種早限」(日平均気温が12℃を上回る初日(羽生ら1966))から前述の「播種晩限」までが播種期間となる(図2、表2)
- 目標収量を700kg/10a、登熟積算気温1,080℃とした場合、「つぶみのり」の播種期間は、一関では4/27〜5/19、北上では4/29〜5/12、「つぶゆたか」の播種期間は、一関では4/27〜5/10と推定される(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 本成果は、カルパー等倍重コーティング種子または催芽済み無コーティング種子を土中播種し、落水出芽法で栽培したデータにより作成しており、鉄コーティング表面播種技術には適用できない。
- 目標収量別の登熟積算気温の設定は、生育条件、気象条件の影響を考慮し、複数年の栽培データから行う必要がある。
- 播種適期の算出には、アメダス平年日平均気温(1981〜2010)を用いており、異常低温や異常高温等は考慮していない。
- 水稲の生育量を確保するためには、播種適期内でなるべく早い時期に播種することが望ましい。
[具体的データ]




( 岩手県農業研究センター)
[その他]
- 研究課題名
- 寒冷地における湛水作溝同時直播栽培技術の確立
- 予算区分
- 実用技術
- 研究期間
- 2010〜2012 年
- 研究担当者
- 臼井智彦、寺田道一、高橋昭喜、扇良明、伊藤勝浩、日影勝幸