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四季成り性イチゴ「サマーティアラ」収穫初期の奇形果発生防止のための養液管理
[要約]
「サマーティアラ」収穫初期における奇形果の発生を減らすには、定植後20日の培地溶液ECを0.5 dS/m程度にした後、株当たり1日のNO3-N供給を6〜7mg、果実肥大以降20〜30 mgとする。給液量は果実肥大まで150〜200ml、以降300〜500ml程度を目安とする。
[キーワード]
イチゴ、四季成り性、「サマーティアラ」、夏秋どり、奇形果、養液管理
[担当]
山形県庄内総合支庁農業技術普及課産地研究室
[代表連絡先]
電話 0234-91-1250
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
四季成り性イチゴ「サマーティアラ」の夏秋どり栽培において、収穫初期に果実先端のそう果不稔や発育不良による先青果や先つまり果などの奇形果が発生し、収量面で課題となっている。そこで定植後の養分吸収特性を調査し収穫初期における、それら奇形果の発生を防止する養液管理を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 定植後20日時点の培地溶液ECを0.5 dS/m程度にしたのち、1日当たりのNO3-N供給量を6〜7mg/株、果実肥大初期は約20 mg/株、果実の肥大とともに約30mg/株程度に増やすことにより、収穫初期1か月間の先青果や先つまり果の発生が少なく商品果数が多くなる(表1、図1)。
- 1日当たりの給液量は果実肥大開始前までは150〜200ml/株程度、果実肥大初期から収穫開始までは300〜500ml/株程度を目安として管理する(表1)。
- みかけのNO3-N吸収量(1日・1株当たり)は、定植後20日頃は最大でも4mg程度で、1か月以降は6〜9mgに増加し、果実肥大初期には20mg前後に増加する。果実収穫期は10〜15mg程度に減少する(図2)。
- みかけの水分吸収量(1日・1株当たり)は、定植後20日頃は約10mlである。1か月以降は約40mlから120 mlに増加する。果実肥大初期以降は約150mlから240 mlに増加する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- 適用は3〜4月定植の作型とする。
- 定植には前年秋に採苗した苗を用いる。苗への追肥の目安は越冬後にNO3-N5mg/苗程度を10〜14日間隔に施用する。本試験に供試した苗の定植時の大きさは、葉柄長7cm、クラウン径10mm程度である。
- 定植前に培地内溶液ECを確認し、0.5 dS/m以上とならないようにする。
- 定植後7日間は1日当たりのNO3-N供給量を1mg/株程度を目安とする。このときの給液ECはおよそ0.3 dS/mである。以降は定植後20日の培地内溶液ECが0.5 dS/m程度となるように、給液ECを設定する。このときの給液ECは上限0.7 dS/m程度とする。
- 排液ECが給液EC よりも高い場合はNO3-Nの吸収量が少ないと考えられるため、給液ECを下げてNO3-Nの供給量を減らす。また、排液量を定期的に確認し、排液がみられない場合は給液量を増やす。
- 上記の養液管理でも奇形果は発生するため、早期に摘果する。
- 本成果は高設ベンチで排液を栽培槽外に排出する方式で栽培した場合の結果である。
[具体的データ]




(上田七瀬、伊藤聡子)
[その他]
- 研究課題名
- オリジナル四季成りイチゴの産地化技術の開発
- 予算区分
- 県単
- 研究期間
- 2010〜2012年度
- 研究担当者
- 上田七瀬、伊藤聡子
- 発表論文等
- なし