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アスパラガス伏せ込み促成栽培における加温法と伏せ込み資材
[要約]
アスパラガス伏せ込み促成栽培の加温法は、伏せ込み後1週間静置したのち、徐々に設定温度を20℃まで上げていく。また、伏せ込み資材として籾殻堆肥が適する。
[キーワード]
アスパラガス、伏せ込み促成栽培、伏せ込み資材、温度(地温)
[担当]
福島農総セ・会津地域研究所
[代表連絡先]
電話0242-82-4411
[区分]
東北農業・野菜花き(野菜)
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
寒冷地におけるアスパラガスは、露地二期どり栽培、施設による半促成長期どり栽培や伏せ込み促成栽培等を組み合わせてほぼ周年的に出荷が可能である。伏せ込み促成栽培は、12月〜2月に出荷できる冬期間の有望な作型であるが、最適な管理方法や伏せ込み資材を検討する余地がある。このため、よりコスト削減した安定生産を確立するため、効果的な加温法および伏せ込み資材について検討する。
[成果の内容・特徴]
- 加温は、伏せ込み直後一気に設定温度に加温するよりも、1週間後徐々に加温〔伏せ込み後1週間無加温静置(トンネルをせずにハウスを開放)した後、1 週間かけて徐々に1〜2℃/day設定温度を上げる〕する方法が増収する(図1)。
- 前記1の徐々に加温する方法において、鱗芽付近(地表10cm下)の設定温度(地温)が高いほど、年内収量が多くなる。(図2)
- 設定温度(地温)別の収量および時期別単価を考慮した販売金額は、20 ℃および25 ℃においては同等であるが、加温に係る消費電力料金は温度(地温)が高いほど大きいため、伏せ込みに適する設定温度は20℃である。(図2、表1)。
- 籾殻堆肥の利用により、収量は山砂と比べ3 割程度増収でき、電熱線加温による消費電力量は5 割程度削減できる。また、前年産籾殻に比べても3 割程度増収する(図3)。
[成果の活用面・留意点]
- 普及対象
冬期間(11 〜3月)に伏せ込み床としてハウスを利用できる農業者(夏秋作物作付終了後、栽培可能)
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等
福島県内 10ha
- その他
県行政機関が主催するアスパラガスセミナーでの講師受入。
県内新規栽培者より、伏せ込み栽培の管理方法について視察などを受入。
籾殻堆肥は粉砕籾殻に石灰窒素および発酵促進剤を処理し完熟したものを使用。
[具体的データ]




(福島県)
[その他]
- 研究課題名
- 寒冷地特性を活用し国産アスパラガスの周年供給を実現する高収益生産システムの確立
- 予算区分
- 競争的資金(実用技術)(2009 〜 2011 年度)
- 研究期間
- 2009 〜 2011 年度
- 研究担当者
- 鈴木美枝、芳賀紀之、長谷川優子、大竹真紀
- 発表論文等
- 芳賀紀之(2010)園学研(Hort.Res(Japan))(別)2:462 「アスパラガス伏せ込み促成栽培における伏せ込み資材が若茎収量および地温に及ぼす影響」
- 芳賀紀之平成24 年2 月東北農研・岩手農研合同シンポジウム 「Mottainai! 大株をフルに活かす伏せ込み技術」