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積雪寒冷地のバラ生産において空気熱源ヒートポンプ導入は経済的に有利である
[要約]
バラアーチング栽培において、空気熱源ヒートポンプを導入して夏季に夜間冷房し、冬季にハイブリッド暖房を行うことにより、生産性が向上し販売額が20%程度増加する。また、燃油価格が40円/L以上の場合は7年以内に設備投資額を回収できると試算される。
[キーワード]
バラ、空気熱源ヒートポンプ、夜間冷房、ハイブリッド暖房、経済性試算
[担当]
山形県農業総合研究センター園芸試験場・野菜花き部
[代表連絡先]
TEL:0237-84-4125
[区分]
東北農業・野菜花き(花き)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
バラアーチング栽培における空気熱源ヒートポンプ導入について、夜間冷房とハイブリッド暖房を行い、切り花の収量、品質の向上による売上、及び冷暖房経費を試算し、経済性を評価する。
[成果の内容・特徴]
- 空気熱源ヒートポンプを導入し、夏季の夜間冷房と冬季のハイブリッド暖房を行いバラを栽培すると、燃油暖房機のみの栽培(以下慣行栽培)と比較して年間当たりの収量が15%程度増加し、上位階級が増加することにより販売額は20%程度増加すると試算される(表1)。
- 680万円/500坪で40馬力相当(10馬力×4台)のヒートポンプを導入した場合の設備投資額は、燃油価格が40円/L以上で法定耐用年数の7年以内に回収できる(図1)。
[成果の活用面・留意点]
- ヒートポンプ区(HP区)とは、空気熱源ヒートポンプを導入して夏季に夜間冷房し、冬季に灯油温風暖房機を併用したハイブリッド暖房を行い、慣行区とは、夏季夜間は自然温度管理し、冬季に灯油温風暖房機のみで暖房を行った区である。
- 山形県寒河江市内で実施した試験結果である。
- 表1の試算は、床面積115m2のハウスで2010年7月〜2012年2月に調査したデータを用い、図1にある条件で床面積500坪のハウス条件に換算して行った。
- 夜間冷房は20度C設定、ハイブリッド暖房(床面積115m2あたり暖房定格能力がヒートポンプが8.0kW、灯油暖房機が23.3kWの条件)は灯油温風暖房機を併用し、18度C設定した場合の試算である。
- 空気熱ヒートポンプがハウス内気温や収量、品質に及ぼす影響等は2011年度成果情報「バラアーチング栽培におけるヒートポンプ利用による夜間冷房効果」と2012年度成果情報「空気熱源ヒートポンプを用いたハイブリッド暖房による運転経費の削減効果」を参照する。
- 電力契約プランによって、電力単価、基本料金が異なり、50kWを超える高圧契約の場合はキュービクルの導入経費等がかかる。
[具体的データ]


(酒井友幸)
[その他]
- 研究課題名
- 積雪寒冷地型ヒートポンプシステムと効率的利用技術の開発
- 予算区分
- 県単(地球温暖化対応プロジェクト総合戦略事業)
- 研究期間
- 2009〜2011 年度
- 研究担当者
- 酒井友幸、永峯淳一、佐藤武義、伊藤政憲、佐藤裕則