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空気熱源ヒートポンプを用いたハイブリッド暖房による運転経費の削減効果
[要約]
バラアーチング栽培において、既存の燃油暖房機に空気熱源ヒートポンプを組み合わせたハイブリッド暖房を導入することで、慣行の燃油暖房と比較して運転経費は燃油価格が49円/L以上で削減できる。
[キーワード]
バラ、空気熱源ヒートポンプ、ハイブリッド暖房、CO2削減
[担当]
山形県農業総合研究センター園芸試験場・野菜花き部
[代表連絡先]
TEL:0237-84-4125
[区分]
東北農業・野菜花き(花き)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
バラアーチング栽培において、空気熱源ヒートポンプの導入が急速に進んでいる。そこで、燃油暖房機に空気熱源ヒートポンプを追加したハイブリッド暖房が、CO2排出量を削減する効果を明らかにし、暖房の運転経費について試算する。また、ハウス内の温度や切り花収量、品質に及ぼす影響を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- 燃油暖房機と空気熱源ヒートポンプを組み合わせたハイブリッド暖房(ヒートポンプが占める暖房能力の割合が約25%の条件)では、CO2排出量は15%程度削減される(表1)。
- ハイブリッド暖房は、ハウス内の気温は除霜運転時には設定温度(18度C)よりも低下するものの、概ね設定した温度管理が可能である(図1)。
- ハイブリッド暖房の運転経費は、電気料金が2013年1月現在の水準(低圧電力契約:11.74円/kWh)の場合、燃油価格が49円/Lで慣行暖房と同等となり、それ以上燃油価格が高くなると、運転経費が削減されるため導入メリットが大きくなる(図2)。
- ハイブリッド暖房期間の切り花収量および切り花70cm以上の上位階級収量は品種や年次による変動はあるものの、慣行の燃油暖房と概ね同等以上である(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 山形県寒河江市内で床面積が115m2の軽量鉄骨ハウスを2棟用いて、1棟は暖房定格能力が8.0kWのヒートポンプと23.3kWの灯油温風暖房機をハイブリッド運転し、もう1棟は同機種の灯油温風暖房機のみを運転した結果である。
- ハイブリッド運転では温度設定をヒートポンプ18度C、灯油暖房を15度Cにした。
- 収量、品質は7〜9月の夜間冷房に引き続いてハイブリッド暖房を行った場合の結果である。
- 本試験は灯油暖房機を用いた試験であるが、重油暖房機でも同様の温度管理や切り花収量、品質が期待できる。
[具体的データ]




( 酒井友幸)
[その他]
- 研究課題名
- 積雪寒冷地型ヒートポンプシステムと効率的利用技術の開発
- 予算区分
- 県単(地球温暖化対応プロジェクト総合戦略事業)
- 研究期間
- 2009〜2011 年度
- 研究担当者
- 酒井友幸、永峯淳一、佐藤武義、伊藤政憲、佐藤裕則