研究所トップ≫研究成果情報≫平成24年度
品質保持剤(GLA)によるバラ切り花の品質保持効果の実証と活用方法
[要約]
品質保持剤(GLA)を用いて、バラ切り花を前処理から後処理まで連続処理すると、気温30度Cの高温観賞条件でも花持ち期間は5日以上確保できる。また、GLAは乾式輸送の前処理と後処理、または後処理のみでも高い品質保持効果が認められる。
[キーワード]
バラ、切り花、GLA、品質保持
[担当]
山形県農業総合研究センター園芸試験場・野菜花き部
[代表連絡先]
電話0237-84-4125
[区分]
東北農業・野菜花き(花き)
[分類]
研究成果情報
[背景・ねらい]
バラ切り花は、高温条件下で水生けすると、ベントネック等の障害により観賞期間が短くなりやすく、花持ち保証販売に対応するためには、その対策が課題となっている。
(独)農研機構花き研究所で開発された切り花品質保持剤GLA(1%グルコース、イソチアゾリン系抗菌剤5.7mg・L-1CMIT及び2 mg・L-1MIT、50 mg・L-1硫酸アルミニウムの混合溶液)を用いて、気温23度C条件下で連続処理すると、バラ切り花の花持ち日数が大幅に延長することが報告されている(市村ら2011)。
そこで、GLAを用いて花持ち保証販売に対応した実用的技術を確立するため、気温30度Cの観賞条件下でばら切り花の花持ち日数を5日以上確保することを目標とし、市場での実証調査を行うとともに効果の高い使用方法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- バラ切り花の花持ち日数は、切り花の収穫・調整後から出荷までの前処理、湿式輸送を経て、観賞(後処理)まで品質保持剤GLAを連続処理すると、気温30度Cの高温観賞条件でも5日以上確保できる。また、気温5度C、暗条件で3日間前処理した切り花でも、高い品質保持効果が認められる(表1)。
- この切り花管理技術は、‘ローテローゼ’や‘アバランチェ’だけでなく、調査した全てのスタンダード系品種において、蒸留水に水生けした場合より長くなり、多くの品種で適用できると考えられる(表3)。
- GLAの使用は、連続処理だけでなく、乾式輸送の前処理と後処理に用いても花持ちが5日以上を確保でき、高い品質保持効果が認められる。また、後処理のみでも品質保持効果が認められるが、品種によっては花持ち日数が5日未満になる場合がある(表2)。
[成果の活用面・留意点]
- 花持ち日数が長い高付加価値化及び花持ち保証販売に活用できる。
- GLAの連続処理により、夏季以外でも40cmから80cmの長さの切り花で花持ち日数が長くなる(データ省略)。
- ‘ロートレック’のように開花が速い品種では、輸送後の花持ち日数が5日未満になる場合があること、乾式輸送では品種によって花色が変化する場合があることから、GLAの使用にあたっては事前に効果を確認する。
- 現在のところ、GLAの商品化は未定であり、イソチアゾリン系抗菌剤は市販されていない。
[具体的データ]



(西村林太郎)
[その他]
- 研究課題名
- 花持ち保証に対応した切り花品質管理技術の開発
- 予算区分
- 実用技術
- 研究期間
- 2010〜2012 年度
- 研究担当者
- 西村林太郎、佐藤武義