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そば有望系統「山形そば5号」の育成

[要約]

「山形そば5号」は、「最上早生」及び「でわかおり」より成熟期の遅い晩生品種であり、「でわかおり」より収量性が高く、食味官能評価は「最上早生」より優れる。

[キーワード]

そば、晩生、多収、容積重、良食味

[担当]

山形県農業総合研究センター・土地利用型作物部

[代表連絡先]

電話023-647-3516

[区分]

VAL東北農業・畑作物(品種)UE

[分類]

普及成果情報

[背景・ねらい]

そばは、山形県内における主要な水田転換作物であるが、収量が不安定で低迷している。また、本県主要品種である「でわかおり」は、千粒重は大きいが、容積重は軽く収量性が低い。そこで、県産そばの品質と収量を安定させるため「最上早生」及び「でわかおり」を上回る良食味多収品種を育成する。

[成果の内容・特徴]

  1. 「山形そば5号」は、山形県農業総合研究センターにおいて2008年に母「でわかおり」に、父「常陸秋そば」を交配して選抜・育成した品種である。
  2. 開花期は「最上早生」より2日、「でわかおり」より1日遅く、成熟期は「最上早生」より8日程度、「でわかおり」より5日程度遅く晩生である(表1)。
  3. 「最上早生」及び「でわかおり」と比較して、草丈はやや長く、1次分枝数はやや多く、茎の太さはやや太い(表1)。
  4. 子実重は「でわかおり」よりも多く、容積重は「最上早生」と「でわかおり」の中間の610g/L程度、千粒重は35g程度である(表1図2)。
  5. そば粉の明度は「最上早生」及び「でわかおり」より高い(表1)。食味官能評価は「最上早生」に比べ、麺の白みが強く、味が良く、総合評価に優れる(図1表2)。

[普及のための参考情報]

  1. 普及対象:山形県そば生産者
  2. 普及予定地域、普及予定面積:山形県平坦〜中山間部のそば作付地帯において「でわかおり」に置き換わる優良品種として2015年度採用予定である。2015年度の作付面積は5ha程度を予定しており、目標普及面積としては2,000ha程度が見込まれる。
  3. その他:成熟期が遅い晩生品種であるため、播種時期が遅れないように注意する。

[具体的データ]

(錦秀斗、相澤直樹)

[その他]

研究課題名
そば優良品種の開発
予算区分
県単
研究期間
2014年度(2008〜2014年度)
研究担当者
錦秀斗、相澤直樹、後藤克典、長沢和弘、原田博行