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不織布ポットを用いたリンゴのフェザー苗の育成方法
[要約]
JM7台木の1年生苗木を不織布ポットに移植し、新梢伸長期からベンジルアミノプリン液剤を10〜15日間隔で散布することにより、フェザーが多数発生した苗木が育成できる。
[キーワード]
リンゴ、JM7台木、ポット養成、ベンジルアミノプリン液剤、フェザー苗
[担当]
岩手農研セ・技術部・果樹研究室
[代表連絡先]
電話0197-68-4419
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
改植はリンゴの生産性向上のための有効な手段の1つであるが、多額の投資を伴うことから、未収益期間を短縮する方法が求められている。
そこで、岩手県で普及しているJM7台木を利用し、岩手県で開発したポット養成苗利用による大苗移植栽培法と長野県が開発したベンジルアミノプリン液剤の散布によるフェザー苗養成技術を組み合わせ、早期結実が可能な苗木の育成方法を明らかにする。
[成果の内容・特徴]
- JM7台木の1年生苗木を不織布ポットに移植し、新梢伸長期からベンジルアミノプリン液剤を散布することにより、フェザーが多数発生した苗木が育成できる(表1、図1)。
- 苗木の育成目標をフェザーの合計本数15本、5〜50cmの長さのフェザー10本程度とした場合、ベンジルアミノプリン液剤の処理濃度は、「ふじ」、「もりのかがやき」、「はるか」では100倍とし、「高野1号」(紅ロマン)、「きおう」、「岩手7号」(紅いわて)、「シナノゴールド」、「大夢」では50倍とする(表1)。
- 苗木の具体的な育成方法は以下のとおりである。
- 発芽前に不織布ポットに移植した1年生苗木を養成圃場に定植し(植栽距離:列間100cm、樹間30cm)、接ぎ木部から40cm程度の高さで切り返す。
- 展葉期頃に先端の生育良好な1芽を残して、全ての芽をかき取る。
- ベンジルアミノプリン液剤の散布は、主幹延長枝が20cm程度となった頃(5月下旬〜6月上旬)から開始する。1回目は主幹延長枝全体に散布し、2回目以降は新たに伸長した部分(主幹延長枝の先端から15cm程度の部分)に散布する。散布間隔は概ね10〜15日とし、合計で8〜9回散布する。
[普及のための参考情報]
- 普及対象
リンゴ生産者および栽培指導者、種苗業者
- 普及予定地域・普及予定面積・普及台数等
岩手県全域
- その他
- 苗木の生育が劣る場合は、十分なフェザーが確保できないことがあるので(図2)、使用する1年生苗木は、生育良好なものを選択する。特に7月は生育が停滞しやすいので(図3)、乾燥時のかん水の徹底や定期的な除草を行うことが重要である。なお、ポットに使用する土はリンゴ園以外の肥沃な土壌を使用することが望ましく、たい肥や土壌改良資材を混合する。
- 主幹延長枝の先端を害虫に食害されると苗木の生育に悪影響を及ぼすので、新梢伸長期には定期的に殺虫剤を散布する。
[具体的データ]
(及川耳呂)
[その他]
- 研究課題名
- ブランド化を促進する果実の生産・加工技術の実証研究
- 予算区分
- 先端プロ
- 研究期間
- 2013-2014年度
- 研究担当者
- 及川耳呂