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銅水和剤をモモの収穫後に散布することで、翌春の縮葉病の発芽前防除を削減できる
[要約]
モモせん孔細菌病を対象として収穫後に銅水和剤を10日程度の間隔で2回連続散布すると、翌春の縮葉病の発生を抑制し、本病を対象とした発芽前防除を削減できる。
[キーワード]
縮葉病、銅水和剤、秋期散布、発芽前防除、モモ
[担当]
秋田県鹿角地域振興局農林部果樹センター
[代表連絡先]
電話0186-25-3231
[区分]
東北農業・果樹
[分類]
普及成果情報
[背景・ねらい]
現在、モモの防除は収穫後にせん孔細菌病対策として銅水和剤を2回散布し、翌春の発芽前に縮葉病対策としてキャプタン水和剤などを散布している。一方、銅水和剤は縮葉病に対しても有効であり農薬登録を有することと、縮葉病菌は越冬期間中にほとんど増殖しないものと予想されることから、収穫後の秋期の銅水和剤散布は翌春の縮葉病に対しても防除効果を示すことが期待される。そこで、収穫後の銅水和剤の秋期散布が翌春の縮葉病の発生に及ぼす影響を明らかにし、縮葉病の発芽前防除の削減を検討する。
[成果の内容・特徴]
- モモ収穫後の銅水和剤の2回連続散布(10月下旬、11月上旬)は、翌春の縮葉病の発生を強く抑制する(図1)。
- モモ収穫後の銅水和剤の2回連続散布は、9月下旬と10月上旬、10月上旬と10月中旬、10月中旬と10月下旬、10月下旬と11月上旬のいずれも、慣行のキャプタン水和剤による発芽前防除とほぼ同等の防除効果を示す(表1)。
- 果樹センター内一般管理圃場における銅水和剤の収穫後の2回散布(2013年10月22日、11月5日)、および鹿角市花輪の農家圃場における銅水和剤の収穫後の2回散布(2013年9月23日、10月1日)は、いずれも翌春の発芽前防除を削減しても縮葉病の発生を認めず、高い実用性を示す。
- 現在、収穫後の銅水和剤の2回散布はせん孔細菌病対策として必須であり、実施した場合は翌春の縮葉病を対象とした発芽前防除を削減できる。
[普及のための参考情報]
- 普及対象:モモ生産者
- 普及予定地域・普及予定面積:東北地域 2,400ha
- その他
[具体的データ]
(浅利正義)
[その他]
- 研究課題名
- モモせん孔細菌病と発芽前防除病害虫の対策を兼ねた秋期防除法の確立
- 予算区分
- 交付金(消費・安全対策)
- 研究期間
- 2012〜2014年度
- 研究担当者
- 浅利正義
- 発表論文等
- なし